九州2011夏:番外篇:JR九州特急「かもめ」や電気機関車EF81
1.九州の鉄道
実際の旅行というのは体力や気力、時間、その他要因で変化するものだ。今回の九州行きで鉄道関係・鉄道図書館関係の当初目的はいつの間にか消えていた。有り体に言えば最後の小倉「松本清張記念館」行きに付随して、「門司港レトロ観光列車 潮風号」を実体験することも十分に考えていたのだが、結局二日目の九州国立博物館を見て歩き、吉野ヶ里遺跡展示館資料をながめて、残暑に体力気力を消耗し、最終日の「門司港まで行ってトロッコに乗るのは無理だ」と決定していた。
しかし、行く先々でJR九州の鉄道には興味が湧いた。JR九州の特徴は、後述する独特の雰囲気を持った特急にあるのだが、それとは別に古い國鐵時代の雰囲気が、港や炭鉱跡にまだ残っている。松本清張が九州出身で、彼の作品にはさかんに鉄道が出てくるが、その縁もあってか、九州の鉄道をながめると、ついカメラのシャッターを押したくなる。
巻頭の写真は鳥栖駅でみかけた貨物列車で、先頭の電気機関車にはEF81とマークされていた。この形式は、塗装をしっかり直して整備して、美しい長距離特急をまだ引いているはずだ。寝台特急カシオペアもEF81が引く箇所がある。旅は人の心や目を変えて、この古びたEF81も宝物に思えた。昔風の貨車ではなくてコンテナが後ろに控えていたが、いつのまにか私はしっかりシャッターボタンを押した。
このあとで、鳥栖駅のミンチかしわ入り蕎麦を昼食にとって、満足した。同行のJo氏も驚いていたが、鳥栖駅ではすべてのホームに立ち食いうどん蕎麦屋があって、客が断らない限り、すべてのうどん・蕎麦にはミンチ鳥を甘辛く煮たそぼろがかかっていた。コップ一杯の水とともに、実に味わい深かった。
ホームで待つ間、他にハウステンボスと書いた特急にも出くわした。少し汚れてくたびれていた。また往年のリレー特急「つばめ」にも新鳥栖駅近くですれ違った。私とJo氏が鳥栖から実際に乗った普通車は、817系と言って、これもおそらくJR九州の特徴ある車両のはずだ。つり革が円形で、椅子も木製に皮のマットが付いていた。
吉野ヶ里公園駅は、田園風景のただ中にあった。
2.JR九州・特急の典型:白いソニック:ドーンデザイン
↑佐賀駅で乗車した、特急かもめ:885系SONIC
JR九州に乗ってみたいと思ったのは、そもそも以前にソニック特急を見たのが遠因にあった。2001年ころからJR九州では水戸岡さんという人がデザインした一風変わった特急列車が評判になりだした。最初に気になったのは、現代だとソニック883系と呼ばれている車両だった。あるいは、ゆふいんの森・特急にも興味を持った。店で模型をながめたり、図書を買ったりして、その外観や内部の空間処理に目を丸くしていた。
どう考えても、私の「図書館列車構想」にぴったりの列車たちだった。つまり、みて愉しく乗って愉しい、ついでに読書もはかどるような空間、施設。こういう特急だと、空き地において図書雑誌を並べて、そこに司書が一人いるだけで、近所の子供や大人がどんどん遊びにくるような、未来を幻視できた、~。
しかし長い間実際に乗る機会はなかった。
どうしても新幹線でびゅんと往って、ぴゅんと還ってくるのが私の旅行スタイルだったのだ。のんびり列車に乗って景色をながめて読書をするだけの、気持ちのゆとりが無かった。
今回は、いやがおうにも、JR九州の特急に乗らざるを得ない計画を立てた。博多から太宰府経由の佐賀だと、普通列車で行けるが、最後に佐賀から博多ないし小倉までだと、確実に特急に乗る。そのつもりで事実三日目には「かもめ」に一人で乗った。あっという間に博多に着いた。時速130キロで走る振り子タイプの特急ソニックの実力だった。
40分間ほどの乗車時間中、15分間は席を立って写真を写していた。「ここに書架、こっちにカウンター、あそこはソファ」と、勝手にソニックの2号車を図書館向きに設計変更しながら、写真をとった。
というわけで、今夏の鉄道図書館系はJR九州のごく一部を体験しただけだが、九州は調べてみるとトロッコ列車あり、観光列車有り、そして新幹線もあって、九州全域図書館特急列車が走る日も近いことだろう(笑)。というのも、数年後「九州一周セレブ列車の旅、2年後に運行の構想 JR九州(朝日新聞)」という計画が、2013年頃に動き出すようだ。ただし、九州版オリエント急行は二泊3日で、湯布院あたりの高級旅館込み・20万円くらいかかるので、庶民の夢の図書館列車とは、ちょっと異なる。
参考
1.JR九州の列車ガイド・特急「かもめ」
2.KATO 885系「白いソニック」
3.KATO EF81
関係図書
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