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2013年5月12日 (日)

小説木幡記:草喰なかひがし(そうじき なかひがし)探訪

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↑古市あたりの近鉄電車:日本はいつも「普請中」

 余はおそらく半年ぶりに京の夜の町へでた。
 京阪特急を終点の出町柳で降りてタクシーで五分ばかり東山に向かい、銀閣寺に入る前の、銀閣寺交番の丁度前にお店があった。ノアノアの手前になる。「なかひがし」という名は旦那が「中東」(ちゅうとうではなくて、なかひがしらしい)の姓で、草ばかり大原で集めて客にだすから、草食系の店名にしたようだ。もっとも、草食男子はここ数年のことで、店は余がこのあたりを彷徨って近所で安いランチを取っていた頃にはすでにあった。

 と、由来はいろいろあっておもしろそうだが、そうだな~、伝記作家なれば一代記を書けそうな軽妙洒脱凝り性の旦那だが、他のネットを見るとご自身もいろいろ執筆されているようだ~

 余はだいたい店の旦那や大将と話す性分ではない。一人黙々と食べて、サイナラする質だから店の人と懇意になった事例は記憶にない。しかし昨夜は、カウンター越しになかひがしの旦那が直接いちいち料理の説明をしてくれて、その合間に「お笑い」を提供してくれるので、ついつい引き込まれ、終わる頃には余もなんかかんかしゃべり出していた。(ただ、まだ病み上がりと腰痛で、2時間近くの座食で疲労があって、旦那ほどほいほいと話は出なかったがな(笑))

 その軽妙洒脱ぶりを記したかったが、それは付録であって、やはり料理の中身を書いておくのがよかろう。
 めずらしく、写真を撮るのは避けた。カウンターなので隣近所の客や眼前の旦那を含めた板前さん達(狭い調理場に総計7~8名の調理人や仲居さんがいた)の目もあって、撮影はしなかった。いや。撮影も気力が必要で、ああやはりまだまだ病み上がりよなぁ。

1.白味噌の味わい
 これは絶品だった。白みその迫力を知った。旦那に聞いたら、奥様の実家の味噌屋さんからのものだと。

2.蜂蜜を塗るということ
 鰹の生節というか、それに和製百花蜂蜜を塗ったとのこと。味わいが深くなるな。

3.米なのかご飯なのか
 途中で、全員(カウンターには10名ほどの客がいた)に一口ずつ、おくどさんから「米からご飯になる」途中の堅めの粥米が旦那の手で配られた。いや、これってすごい話だよ。

4.(お笑い)メインディッシュ
 めざし、香のもの、生麩とわかめなど~。旦那がめざしを指して「本日のメインです」と言ったので余はつられて破顔した。確かに評判高い絶妙の「朱色おくどさん」炊きご飯には、めざしこそが最高のメイン料理だよな。しかし、このめざしは、眼前で調理される料理の数点前から、炭火で「食速が同じ程度の客」に併せて丁度3尾焼かれていた。これだけの手間暇、繊細さにはなかなか出くわさないだろうな。

5.鯖のなれ鮨と大根一代シャーベット
 まず鯖のなれ鮨があまりに美味だったので旦那に「ちょっと、これここで造っているの?」と聞いたら、さすがにそうではなくて滋賀県の「朽木(くつき)」で造ってもらっているとのこと。滋賀県と言えばクセのある鮒ずしが有名だが、朽木あたりは鯖街道と言って日本海の鯖が京都に運ばれる道筋だったから、鯖の熟れ鮨が成熟したのだろう。
 で、そこに添えてあるのが大根のシャーベットや花や茎で、この季節限定の大根の一生をまとめ喰いできるとのことだった。

6.イワナあるいは鯉のぼりの鯉
 イワナも鯉もそれぞれ間隔を置いて味わった。二つとも、眼前の炭火で丁寧にじっくり焼かれたものだ。煮出しがかけてあって、身をほぐしては煮出しに付けて口にした。鯉の方は塩焼・透明な煮出しで最後にスープとして全部飲んだ。魚もこれだけ時間をかけて調理されると、本望だろうな。

*.と、いろいろあったが
 どれ一つ素材が絶叫しない、穏やかで繊細な草喰だった。いわゆる減塩に近い薄味だが、「うまみ」とか蜂蜜塗りにあらわれている独特の調理でまとめられていた。さすがだなぁ。
 数え切れない多種多様の山菜に目が回った。知った山菜と言えば、細ワラビの海苔巻きかな(笑)。ギボウシ、ゼンマイ、コゴミ、ああ幼少期になつかしい「いったんどり」、~そうそう鯉澄ましにさりげなくそえてあった山椒の葉、~余が知らない異世界に包まれておった。

まとめ
 この世にはお金やシステムや組織では作ることができないものがある。と、感動した。
 この料理はなかひがしの旦那一代で終わるかもしれないが、しかたないと思った。
 だんなが元気な間に、皆の衆、一度はあるいは四季おりおり「なかひがし」に行くべし。
 これだけの山菜を日々集め、調理し、新工夫を重ねるのはなまなかの商売気だけでは続かない。
 めったに予約が取れない! という事実神話もあたりまえだな。
 どんなに考えても、一晩で最大20席分しか用意できないだろう、と思った。
 日本料理の器、葵の皿、魚形の皿~朱色のおくどさん、~炭焼き。
 最後の最後に、4月16日に仕込んだという冷珈琲が小硝子器にいれて出された。あはは、うまぁ~い!
 (注:そえてあったのが直径5ミリほどの黒砂糖金平糖二つ、それと飛鳥時代のチーズかな、「蘇(そ)」)

諸元 そうじき・なかひがし
 606-8406
 京都市左京区銀閣寺交番所前 
 TEL 075.752.3500
 FAX 075.752.3508
 昼 12:00-14:00 (要予約)
 夜 18:00-21:00 (要予約)
 月曜日定休

諸サイトの一品
 北さんの京都Oh!ばんざい
 なお、ひごろはレストランに悪口雑言をあびせる「食べログ」読者達が、めずらしく「ながひがし」に好意的コメントを寄せていた。

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