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2013年4月16日 (火)

小説木幡記:竹林の若竹煮

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  嵯峨野・祇王寺の竹林

 余の好物に若竹煮がある。筍に栄養があるとも思えぬが、あの歯ごたえは「たまりませぬ」。一方、海の幸、わかめはみるからに身体によさそうだ。お互いに、春先が旬と聞く。
 映画『海底二万マイル』では、海の幸ばかりを使ったディナーがあった。もちろんわかめも使ったのだろう。あの物語で、食生活は海だけでもやっていけると思った。
 別の作家で『海底牧場』というSFもあったように覚えている。
 しかし。
 筍はどうしても陸上の方が似合っている。海の底に竹林があるのを想像すると、竜宮城くらいしか思い浮かべることができない。
 ともかく、若竹煮は好みだ。
 今の年令となっては、昔に好んだステーキや、トロやクジラの尾の身やカニ道楽よりも、若竹煮を選ぶだろう。そういう味わいを日本が料理として作り出した、……。それもこれも、筍やわかめが日本に育っていたからだ。

 そこで。
 写真の竹林を「祇王寺の」と限定したが、よく見ると竹林は「垣」の外にある。竹自体は余の好む祇王寺の庭に大きく傾いてはおるが、なんとなこの垣は祇王寺庭の北限に思えてきた。となると、祇王寺の竹林ではないかもしれない、~。さて、真相は如何に。謎は深まるばかり也。

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