小説木幡記:竹林の若竹煮
嵯峨野・祇王寺の竹林
余の好物に若竹煮がある。筍に栄養があるとも思えぬが、あの歯ごたえは「たまりませぬ」。一方、海の幸、わかめはみるからに身体によさそうだ。お互いに、春先が旬と聞く。
映画『海底二万マイル』では、海の幸ばかりを使ったディナーがあった。もちろんわかめも使ったのだろう。あの物語で、食生活は海だけでもやっていけると思った。
別の作家で『海底牧場』というSFもあったように覚えている。
しかし。
筍はどうしても陸上の方が似合っている。海の底に竹林があるのを想像すると、竜宮城くらいしか思い浮かべることができない。
ともかく、若竹煮は好みだ。
今の年令となっては、昔に好んだステーキや、トロやクジラの尾の身やカニ道楽よりも、若竹煮を選ぶだろう。そういう味わいを日本が料理として作り出した、……。それもこれも、筍やわかめが日本に育っていたからだ。
~
そこで。
写真の竹林を「祇王寺の」と限定したが、よく見ると竹林は「垣」の外にある。竹自体は余の好む祇王寺の庭に大きく傾いてはおるが、なんとなこの垣は祇王寺庭の北限に思えてきた。となると、祇王寺の竹林ではないかもしれない、~。さて、真相は如何に。謎は深まるばかり也。
| 固定リンク
「小説木幡記」カテゴリの記事
- 小説木幡記:楠木正成のこと(2013.06.07)
- 小説木幡記:腰痛と信長(2013.05.28)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント