小説木幡記:黒笑話「手術は成功しました。なお、患者は死亡しました。」
この数週間ずっと腰痛に悩まされている。いやしかし腰痛のプロらしいことは言わないでおこう。腰痛は直立歩行人類のさけられない疾患だとか、腰痛は1年や2年は洟垂れ小僧、10年かかってやっと大人の腰痛~とか。腰痛で糊口をしのいでいる関係諸団体は多いな。整体・カイロプラクティック・あん摩・指圧マッサージ・接骨・柔道整復・鍼灸~整形外科。ああ、膏薬や貼り薬を出している製薬会社。
ということで、ある日の大病院、生きては帰れぬ、血も氷る禍々しい某診療科、患者の少ない若先生(若先生の技量は最高なのだが、この地点までたどり着く患者は実に少ない。医療マニュアル分類細目の通りに患者を振り分けると、たどりつく患者は数パーセント(笑))と、えらい明るい余との診療対話。まるで「あー、この患者の胃は全摘出しましたから、以後二度と胃がんには罹患しません(実は友人が胃を全部取ったので、この黒笑話はここだけの)、ケケケ」話。
余「先生! 腰が痛い。なんか、よく効く貼り薬、膏薬はありまへんか?」
若先生「腰痛を、僕に言われてもね。そのうち治りますよ。なんなら隣の整形外科に行きますかい?」
余「いやいや。そんなとこ行ったらまた、レントゲンとかCTの、MRIのとかいわれるでしょう? 私の放射線や電磁波の被曝量は相当大きいですよ。(格言:死にたけりゃ、病院へ行ってこいや)」
若先生「うむふむ、困った人だ。じゃね、例の痛み止めと、よく効く大型絆創膏をだしておきますよ。ああそうそう、痛みが落ち着いたら、ラジオ体操とか、腰痛音頭でもためしてくだせ」
余「ああ。あの痛み止めねぇ。カロナール200mgでんな? 昔使っていたロキソニンとかだったら、こんな痛み一発でとまったけどぉ。カロナールはいまいち効きが弱いなぁ」
若先生「贅沢言わずに、我慢我慢。ロキソニンは、免疫系を破壊するし、今つかっている薬とは飲み合わせ、食い合わせが悪くてねぇ」
余「食い合わせ? というとぉ」
若先生「ウナギ梅干し級、あるいはスイカ天ぷら級やね」
余「ほぉ。あ、そうか。JR乗るときは、阪急天蕎麦や京阪天蕎麦は食べんほうがええちゅうことでっか?」
若先生「ようわからんな。要するに、この際ロキソニンは駄目」
余「へいへい先生、おっしゃる通りに致しまする(格言:薬は毒、さじ加減一つでお釈迦様)」
ということで、余は大量の「モーラステープL 40mg」を大事に抱えて帰宅し、腰に2枚はって、カロナールをとりあえず2錠(一挙に400mg)飲んで、買い置きの腰痛バンドで補整下着して、熱い茶を飲んだら、すこしだけ楽になった。
まっこと、腰痛とは人類の宿痾よのう。
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