小説木幡記:金沢文庫はどこですかい?
神奈川県立・金沢文庫
図書館史を考えるとき、北条氏にかかわる「金沢文庫」は貴重な一里塚である。武家がある程度の公開性を持った文庫を、一家相伝の事業として保った事例は多くない。もちろんこれは現代の公共図書館とは異なるが、図書(文書や写本など)の集積と閲覧利用については機能的に近似である。現代はこの文庫の歴史的顕彰を兼ねて、県立の立派な金沢文庫が横浜市金沢区にある。
金沢文庫は鎌倉時代のなかごろ、北条氏の一族(金沢北条氏)の北条実時が武蔵国久良岐郡六浦荘金沢(現、横浜市金沢区)の邸宅内に造った武家の文庫です。その創設の時期についてはあきらかではありませんが、実時晩年の建治元年(1275)ごろと考えられています。蔵書の内容は政治・文学・歴史など多岐にわたるもので、収集の方針はその後も顕時・貞顕・貞将の三代にわたって受け継がれ、蔵書の充実がはかられました。(公式サイトより)
さて余は大学受験時代から鎌倉幕府・文化史で「金沢文庫」を覚えていた。また、現代も、その主旨を継承した資料館が、神奈川県に金沢文庫としてあることも認識していた。だが、それが横浜市だという感覚はなかった。要するに、鎌倉時代の歴史的記念文庫だから鎌倉市にあると長年誤認していたわけだ(失笑)。実際は横浜市の金沢区だった。
訪ねて行ったのは昨年夏の某日午前中だったが、「もう一度行け」となるとまた考え込まねばならなくなる。JR新横浜を出発点として、わけのわからぬままに電車に乗って、金沢文庫駅で下車し、あとはタクシーに乗った。入り組んだ道だったので迷いそうに思えた。帰路はそのまま徒歩で駅までたどり着いたが~なかなか他国者には地理が難しかった。
地図で見てみると、「金沢文庫」は駅名、地名化しているせいか、やたらとマンションや喫茶店名に使われているので余計に混乱した。しかし大学受験時代は、「鎌倉幕府が金沢(北陸)に勢力をもっていたのか」と、とんでもない誤認をしかかったのも、また明瞭な記憶としてある。人の人生とは、思い違い考え違いに溢れておるな。
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