小説木幡記:ひっそりと物語に沈む
↑ミホミュージアム(平成24年秋)↑
大晦日から今日の元日まで、文庫本を3冊読んだ。ちょっとはメモしておこう。
・獣の奏者(闘蛇)/上橋菜穂子
・獣の奏者(王獣)/上橋菜穂子
・遠謀(密命シリーズ14)/佐伯泰英
獣の奏者は、まだ探求編、完結編、外伝と講談社文庫で3冊もあるようで、楽しみだ。昨年末は上橋さんの「守人」「旅人」シリーズを読んだが、余が惹かれたのはつまるところ「謎謎」しているからである。背景も行動もなかなか解き明かされないが、いつか衝撃の真実に直面する。これらをファンタジーと呼ぶのが一般的なようだが、日本のファンタジ-は、余の経験範囲だけでも、十二国記、空色勾玉、そして守人~と、女性作家の才能が際立っている。どれも重厚長大なのに、一旦手にすると巻措くあたわず世界で、のめり込んでしまう。共通点は謎と迫真の恐怖と、永遠の人物像への憧憬にあるな。
佐伯さんの密命シリーズはもう14冊も読んでしまった。この方の文庫は他社別シリーズも山積み平積みしてあるから、まだまだたのしめる。で、安心して読める。今のところ主人公クラスの非命がない。濡れ場もない。負けない。炉辺の幸と和がある。酒と一膳飯とシジミ汁の香りがする。と、これだけ日常に溢れているのに、撃剣のするどさ、物語の展開、場面の交差と、まるで飽きることがない。異才極まれり、と何度も感心する。
と、そんな様子で平成25(2013)年も始まった。
読書も散歩もジオラマ制作も物語耽溺も食事も、なにもかも、じっくり味わって楽しもう。そうそう、今朝は小さなシェリーグラスに月桂冠の大吟醸をちょっとばかり注ぎ、喉に流した。下戸であっても、この鮮烈な味わいはよくわかる。日本酒というのは、芸術だね。
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