小説木幡記:アクロイドは何位?『東西ミステリーベスト100』
嵯峨野を舞台にした旅情ミステリーを書いてみたい、読んでみたいと思ってきた。山村美紗、西村京太郎、内田康夫さんたちの作品をいくつかずつ読んだ記憶がある。余はこういう超大家の作品を愛惜してきた。最大の理由は読後がさわやかなものが多い。嫌みがない。衒学臭がない。おっとりしている~その良質な文体からにじみ出てくる旅愁は、いつでも鮮やかに蘇る。読んでいると生をにんまり微笑んで愉しめる。うむふむ。
(先週は内田康夫さんの『神苦楽島』を読んだ)
さてしかし世間で申すミステリーにはまた違ったジャンルがあるようだ。と文藝春秋社編の『東西ミステリーベスト100』を手にとって思った。いやいや、そのどちらかにケチをつけたくてこの記事を書いているのじゃない。要するに多様性をまだまだまだ愉しめるなぁ、という極楽感が湧いてきたから筆をとった。
ここで、この図書を購入するに多少手間取ったことを申し添えておく。<週刊文春臨時増刊>とタイトルにあったので、てっきり週刊誌? とおもって、書店やコンビニの週刊誌置き場を探してみたが、あるわけない(笑)。これはいわゆるムック、というよりもそのうち文庫化するから、完全な図書だな。まあ、よろし。入手しがたい僻地にお住まいの方はアマゾンから直接数日内に読む事ができます。
で、背景情報として、こういうのは毎年でるものと無意識に思っていたが、実はそうじゃなくて、先回のは1985年なのだ。なにしろ各界識者のアンケート400人弱での制作だから、そうそう毎年出すのは難しいのだと思った。それとあらすじや蘊蓄記事がおもしろくて、東西合計200編。「こりゃ四半世紀に一回くらいしか出せないなぁ」と、感心した。
そこで、余は今『アクロイド殺し』を読んでおるが、これは「西部門」で何位なのか? と思ってみたら、うむふむ、アガサ・クリスティは抜群の実力よな、堂々5位だった。たしかに、いま60%読んだところだが、「おもしろい」(実は20代に読んではいるが、超有名な核心だけぼんやり覚えていて、他はまるで未知)。
東西ミス100、こういうランキング本と余の感性とが時々合致して、なんとなく世間に合っていることに安心感を持った次第(爆笑)。
さてそこで、いくつかを記しておく。興が湧いてミステリ読者が増えると、良質な作品もどんどんでてきそうだな。しかし1位~10位を露骨に記すのは、なんとなく文藝春秋社の商売の邪魔するようでもうしわけない。ここは搦め手からの情報流出という形で。
東11位 黒いトランク/鮎川哲也(創元)
東12位 戻り川心中/連城三紀彦(光文社)
東13位 容疑者Xの献身/東野圭吾(文春)
~
西11位 オリエント急行の殺人/クリスティ(早川・創元)
西12位 ミレニアム(三部作)/ラーソン(早川)
西13位 死の接吻/レヴィン(早川)
まあ、リーク出来るのはこの程度だな。
それと蛇足かな? 東西ともに一位作品は、余が愛惜し気に入った作品であり、作者であった。ということは、余もミステリ世界では相当に常識人のようだ。うれしいような、あははは。
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