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2013年1月 2日 (水)

小説木幡記:大納言公任の名古曾瀧

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 大沢池・名古曾瀧址↑

 正月早々に1000年ほどさかのぼった。いろいろ心の世界は動いておる。

 名古曾瀧(なこそのたき)
 京都市右京区に大沢池があって、その北辺に名古曾瀧址という遺跡がある。嵯峨上皇が此の地に別荘を造られたときの作庭らしい。時代は9世紀初頭。この嵯峨上皇のお知り合いには、空海さんがおられる。

 でそれから約200年後の10世紀末(999年頃)大納言(藤原)公任(だいなごん・きんとう)が、「滝の音は絶えて久しくなりぬれど、名こそ流れて、なほ聞こえけれ」と歌った。

 現代風に言い換えると、
 大沢池には名古曾の滝があったと聞くが、もう埋もれてしまって滝水もない。しかしここに立つと、なにやら滝の音がしてくる。これは嵯峨上皇のお作りになった名庭の滝として、名前が知れ渡っていたからだろう。(私が埋もれてしまっても、私の歌は世の人々に伝わってほしいことよ)

 これをまた約200年後の13世紀(1235年~)に、藤原定家が小倉・百人一首にとった。55番目である。
 そして今朝は21(2013)世紀。なにごとも、長い長い時間が流れた果ての話である。
 悠久であるぞ。

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