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2012年11月 7日 (水)

小説木幡記:神々さんたちの物語

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三輪乃神

 三輪の神さんは蛇神さんかと思っていた頃もあったが、実は大物主「おおものぬし」という大地に直結する偉大で旧き神さんだったと、分かるようになった。
 大地に直結するというのは、要するに作り上げたものよりも、最初からそこにその地にどっかり座っておられたという意味。旧きというのは、今来(いまき)でなくて、誰も知らない旧い時代からの神さんの意味。
 一般に旧神は新しい神々・潮流に押し流されてしまうものだが、三輪乃神さんほどになると、新神さまに覆われるよりも、新神さんを離さないと、世界がどうにもならない荒れようになると、……。そういう経緯が記紀神話に色濃く出ている。

 と。
 神社というのは、言葉に尽くせぬ神々の物語を事実として、今に残している。神社の前で頭を下げるのは、◎◎思想を擁護する行為、とか大昔言われたが、これは無学無知蒙昧のいいようであって、人間の「心のありよう」を真剣に考えないと、馬鹿げた屁理屈に囚われる。
 ここで、「心のありよう」とは、当然にして「神々の物語と人の心の動き」を指している。つまり、幻想でも妄想でもなくて、現実的な人間営為そのものである。

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