NHK平清盛(24)清盛の大一番:相撲節会(すまい・せちえ)に勝った清盛
相撲と言えば、日本書紀に野見宿弥(のみのすくね)と当麻蹶速(たいまのけはや)の話があって、奈良県桜井市の相撲神社が伝承筆頭にある。わかりやすい記事を見つけたので引用しておく。
信西は学問僧、というよりも当時のまともな僧は学者だったから、日本書紀や昔の宮中行事のことをいろいろ知っていたのか、そしてまた人心と財政を潤すために、相撲節会を興行した。歴史の中でも平安末期は乱れていたので、信西のような人がでてきて朝廷・政治改革を図ったのはよくわかる。が、その一つが相撲とは驚いた(笑)。
そんなこんなで、信西の勢いに巻き込まれたのがいつもの平清盛だった。
これまでのところ、清盛はなにかしら政治の動きに巻き込まれるタイプで、自分で進んで回転させていく雰囲気は少なかった。信西はそれほど、迫力のあった政治家だったのだろう。だからドラマとして若い頃の信西と清盛とが知り合いだった設定は、実に美味く機能してきている。しかし今夜あたりから、婚礼に腹の据わらぬ息子重盛を指導したり、相撲にかこつけて太宰府の大弐職を手にしたりと、清盛の積極性が増してきた。
それに対応するように源義朝(玉木宏)の暗く陰惨な怨念がよく現れてきて、後日の平治乱に上手に繋がっていくと感じた。この対照はいささか極端だが、清盛と義朝の立場や環境の違いがセリフの数々、眼の動きに良く出ていて、清盛の陽性と、義朝の陰性があざといほどに浮かび挙がってきた。義朝の暗さは以前からで、今夜に限らないので、そろそろドラマツルギーとして、平治の乱前夜の爆発の絶頂が近づいてきていると感じた。
ところで相撲節会の手伝いをするために、太宰府にでかけ現地を掌握し、その資源で宮中行事を派手に納め、そのことで清盛は後白河天皇から太宰府大弐職を約束された。これが、信西のいう、清盛の相撲ということらしい。しかし古伝では当麻蹶速は野見宿弥に蹴り殺されたという話だから、清盛の相撲が安全だったわけではない。
さて。
こうして毎週見ていて思うのだが、本当に面白い。よくできたドラマだと思っている。だからもう、視聴率なんかは気にしなくて良い。NHKだから、税金のような(笑)お金でできあがっているドラマだかろこそ、つまらぬ方法で視聴率を上げるのは無駄な努力だと思う。
核心をとらえたこのままの方法で行けば良かろう、と本心から思った。
余のいまの感想では、平安末期の朝廷から武家世界への移りを、清盛や義朝を題材にして、その流れを上手に描いている。それが良いのだろう。まさか平治乱が保元乱より先にもならないし、遠島流されたのは崇徳上皇であり、けっして後白河法皇でない。そういう正しい流れがあるから、余は満足しておる。
| 固定リンク
「NHK平清盛」カテゴリの記事
- NHK平清盛(50)遊びをせんとや生まれけむ:双六が終わった(2012.12.23)
- NHK平清盛(40)はかなき歌:梁塵秘抄のこころ(2012.10.14)
- NHK平清盛(37)殿下乗合事件:棟梁と日宋貿易(2012.09.23)
- NHK平清盛(36)巨人の影:重盛と後白河法皇(2012.09.16)
- NHK平清盛(35)わが都、福原:波乱の頼盛(2012.09.09)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント