NHK平清盛(21)保元の乱:一騎打ちと飛び道具
承前:NHK平清盛(20)前夜の決断:後白河と清盛
NHK大河ドラマ公式あらすじ
保元の乱や、数年後の平治の乱の意味付けは、理屈解釈として横に置いておいて、今夜のドラマについて印象に残ったことをいくつか。
一騎打ち
まずこのころは、集団戦の中に必ずモノノフたちの名誉と意気地をかけた一騎打ちがあったようだ。悪左府頼長も、信西入道も、お互いに孫子の兵法を説いて、お上の前で軍議をするが、しかし「一騎打ち」的な要素が入ることは、あまり気にしていないようだ。平家物語は、今後も平氏が滅びるまで、それぞれの一騎打ちを美しく描いていくが、いくつかの一騎打ちで、あたら命を無くしたり、無駄な足踏みをしたりして、戦の流れが変わっていった。
清盛と叔父さんとの一騎打ちにはさすがに、海賊上がりの兎丸一統がじれて、ついには丸太を積んだ荷車で門をやぶるという破城攻撃に移ったが、このころの武士集団における倫理的というか美意識というか、その背景は何だったのだろう。平安時代末期に儒教はもう入っていたのか。まさか仏教精神から一騎打ちの名乗りをしたとも思えない。これは宿題だな。
飛び道具
幼児のころ、鎮西八郎為朝のことは私にとって憧れだった。
ものすごい強弓、鏑矢(かぶらや)、敵の船のどてっぱらにさえ穴をあけて沈めてしまうほどの超人的な弓矢。
今回のドラマで、鎮西八郎為朝(橋本さとし)の造形は出色と言ってよい。最初に見たときは「モンスター」と本気で思った。いろいろ工夫をしているようだが、それにしても俳優というのは何にでもなれるものよ、と感心した。
その弓矢だが、狙われたら「おしまい」という恐怖感があった。
戦はこわいものだ。
それにしても後白河天皇(松田翔太)
まあなかなかによいせりふをいかにも高貴な方として武士達にかたりかけ、所作も優雅で、なお摂関家とはひと味ちがったわかりにくさを残すところに、妙があった。今回の配役はどれもこれも収まりがよいが、中でも後白河天皇は実に楽しい。
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