NHK平清盛(19)鳥羽院の遺言:誰もが大将の悲劇
承前:NHK平清盛(18)誕生、後白河帝:青墓の宿
NHK大河ドラマ公式あらすじ
優れたリーダーがいないと、だれもが「われこそは」と思う様になるものらしい。政治、経済、日常の世界でもよくあることだ。だれでもが大将になり得ると思い込ませる所に悲劇が生じる。実は義朝のこともその中に含まれる。リーダーこそなにかの成り行きで自然に成って、しかる後に自然にそのリーダーが秘められた力を発揮し始めるのが、一番波風が立たないと思った。リーダーを造るのに民意とか民主主義は似合わないな()。
清盛の場合は、ドラマによると英傑・平忠盛の強い後継者指名によって成った所に強みがあった。これは長子相続だが、世界には末子相続もある(モンゴル)。
今読み終わった大江戸の剣豪小説というか、江戸物では、徳川八代将軍吉宗が、なぜ御三家筆頭尾張をさしおいて、しかも紀州の部屋住み三男坊がなぜ? という陰謀・謀略を鮮やかに描いておった。後白河天皇が位に就いたのも、吉宗が紀州から出てきて将軍になったのも、「理」の狭間に、つまり隙間があって、そこに時空がぽとんと落ち込んだことで新たな展開になったと思うわけだ。
さてそこで、ドラマは入り組んでいて登場人物の心理がいまひとつつかみきれない。それはあたりまえで、みなみながあらかじめプログラミングされているわけではないので、ちょっとした風のそよぎで心が変わり行動が一転する。鳥羽法皇、後白河天皇、崇徳上皇の三者の関わりは、だれがかんがえても理屈では理解できないところがっあって、そういう部分を信西入道が上手にさばいていった。
信西(阿部サダヲ)、後白河天皇(松田翔太)、鳥羽法皇(三上博史)、崇徳上皇(井浦新)、源為義(小日向文世)、源義朝(玉木宏)、藤原忠実(國村隼)、忠通(堀部圭亮)、頼長(山本耕史)、平忠正(豊浦功補)、……。と男優ばかり上げてもうしわけないことだが、この人物達がちかごろめっぽう光ってきた。というか、のりにのって、そこに俳優がいるのではなくて、まさしく上皇や法皇や頼長が話しているという濃い雰囲気になってきた。
大河ドラマの佳さだと思う。5月頃になるとなにか劇中で俳優に憑依があるのだろう。これは過去にもいろいろあったが。このたびも強烈に味わっている。
で平清盛を上げなかったのは、悪い意味じゃなくて、この人は特別だから外した。
信西は意外なほどにぴったり収まってきた。最初はふざけすぎに思えたが。
源為義は、このいじいじした役柄は実に、本当に実に当たり役だと思ってみている。
義朝の陰惨さはリアルすぎておとろしい。
そうそう、藤家の父と兄弟間の確執は、まさにこうだったんだろうと、納得。
~
というわけで、今夜は物語のスジとか、理屈とかは分からなかったが、俳優達の迫真には感動してあっというまに終わってしまった。また来週も楽しみだ。
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