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2012年3月11日 (日)

NHK平清盛(10)義清散る:可哀想ってのは惚れたって事よぉ

承前:NHK平清盛(09)ふたりのはみだし者:生まれてくるのが大ばくち
NHK大河ドラマ公式あらすじ

 佐藤義清(のりきよ:藤木直人)の惑乱。
 恋情に理屈をつけなくとも、単純に守護する女主人に懸想(けそう)したと、それだけのことだが、ドラマなのだから、なにかと~。しかし、可哀想とは惚れたって事よぉ~という通説のごとく、璋子(たまこ)さんの境遇に同情したといってもわかりやすい。

 ドラマだが、
 義清が自分の娘を蹴り落とす場面は実にリアルだった。人は自分自身の懊悩に制御を忘れると、何をしでかすか分からない。狂った様を描いていた。ところが実は、これが俗人の出家の姿なのかもしれないと、思った。仏陀も家族をすてた。平安末期の佐藤義清も家族を棄てた。

 そしてまた△関係というか、三すくみというか、実に難しい人の心と心の哀憐憎悪を上手に描いていた。鳥羽上皇は得子(なりこ)と子をなし、昔の璋子を見限っている振りをする。いまだに息子の崇徳天皇の実父が白河法皇であったことで、璋子に愛と憎しみを感じている。璋子は文武両道の佐藤義清に惹かれながらも、鳥羽上皇から突き放された悲しみに耐えられない。と、実はドラマでは、璋子のお付きの堀河局と義清との関係も複雑にある。確かに二人は深い関係だった。

 と、要するにこれだけ複雑怪奇な人間の愛憎が絡んでくると、より感性のすこやかな義清が出家して、一切合切の座布団返し(バクチじみてくるな)をして愛憎劇の幕を引かないと、収拾がつかぬ。このことで、悪左府のつけいる隙もひとつ減少するわけだから。

 それにしても随分な不敬内容だ。
 歌舞伎なら、時代を飛鳥時代に飛ばして描くかもしれぬが。
 ただドラマだし、お話だし、これに目くじらを立てると源氏物語など官立大学では研究も出来なくなる。
 また、来週も楽しみだが、はやばやと西行がうまれてくれてほっとした。まだまだ清盛が脇役じみているので、いささかしびれを切らしてきたところなのだ(笑)。

◇予習復習
 ドラマでは清盛と義清(のりきよ)とが仲の良い親友として描かれ、毎回武人とはいえ貴公子義清に、小汚いバンカラ清盛がやり込められるおかしみがあるが、事実はどうだったのか? 勿論、私は当時の彼らのそばに居ないかったので分からぬが、歴史的事実として、西行と清盛とが同年齢だったことは分かる(ようだ)。

 『西行と清盛/五味文彦』(新潮選書)によると、その巻頭に二人の行跡がはっきり分かる表があった。言葉であらわすと、二人は元永元年(1118)に生まれ、数え1歳となっていた。義清が出家遁世し西行と名乗るのは二人が数え23歳。実に若かったし、その出家は都人に惜しまれたようだ。
 ~
 西行は63歳で伊勢に移り神の道に親しむが、翌年治承五年(1182)64歳で平清盛は死去する。そして願わくは花の下で春死んだのは、清盛死去後9年後、西行73歳であった。
 西行は厳しい旅を続けた割には長生きだし、政治激務に明け暮れた清盛も64歳まで生きている。二人ともに元気な人だったのだろうか(笑)。
 なお、著者の五味先生は、西行遁世を待賢門院璋子(鳥羽上皇・中宮)との関係にあったという説には懐疑的だった。もし璋子との恋情にあるなら、それは大スキャンダルだし、貴族達の日記にも大々的に騒がれただろう、と選書を読みながらそう思った。

 白洲正子さんの『西行』(新潮文庫)では、また別の解釈が色濃くあったが、それはまた後日に。

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