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2012年1月 6日 (金)

小説木幡記:一瞬の快感

0img_4628 なにか一瞬の時が訪れて、「ああ、よかった」とか「長生きはするもんだ」とかあるいは「これまでの努力が稔った」といとも簡単に人生を輝くものと受け取ってしまう。
 事実は、そういう感動は数秒~数分で終わって、あとには砂を咬むようなじゃりっとした日常や、うつうつしい明日のことが控えてOru。ただ数秒であっても、明日が耀き希望へのときめきに胸たかなるのも、これも紛れもない事実なのだ。

 輝ける事実を時や秒で計るのはやめよう。
 輝くようなときめきがあったこと。そしてそれがまたいつか訪れることに、うっとうしい昨日今日明日も耐えられるというものだ~などと、余がどんなに不幸な毎日を送ってOruのかと思ってもらっては困る。余は毎日規則正しく半熟タマゴをいただいて、昼は豪華なランチを近所の一膳飯屋でとって、それなりの仕事をして、日が落ちると極楽三昧で夕餉を囲み、湯気に曇った風呂場で鼻歌を歌い、ベッドに入って電気を消したら瞬時に眠り、気付いたら翌朝だったという毎日を送ってOru。

 さて、輝ける一瞬を記録しておく。

1.ハンダごてから流れたハンダが一瞬にして細いより線全体にしみ通り、数秒後にはワイヤーがハンダの均一皮膜に覆われるとき。これは温度やハンダの量や、対象より線の汚れ具合など、いろいろな条件をくぐり抜けてはじめて、綺麗にメッキされたようになる。難しい技だが、成功したとき快哉を上げる。

2.早朝の国道一号線で、アクセルを軽く踏み込んだだけで、一瞬にしてのきなみ他の自動車やバイクをバックミラーにおさめ、なお当然のごとく法定速度時速60(午前七時前まで)キロに収まるとき。これは自動車メーカが社会的に隠している事実だが、現今のファミリーカーであっても車種によってはスパルタンな走りの潜在能力が実に高い。

3.お気に入りの天ざる1150円をいただいた後、蕎麦湯をダシに注ぎ一口飲み、本わさびの香りを味わったとき。

4.お気に入りの鴨ナンバ1300円をいただき、最初に分厚い鴨肉を口にいれたとき、じゅわりと地肉の豊かさが口腔を満たす、その一瞬。

5.熱燗で、最初の一口。本当に腹に染み渡る日本酒のよさ。もちろん高級酒の冷酒もフルーティーで良いものだが、冬の熱燗はたまりませぬ。

6.優れたミステリに出くわし、数頁読んだときの、未生の物語への恍惚感、たかまり、痺れます。

7.夏休みや春休みが始まる前日。これは、幼稚園時から今にいたるまで、最高の悦楽じゃったのう。

 などと、あんまりお金も手間暇もかけずに結構な楽しみは、あるものだ。ただし、それを味わうには心のゆとりも必要なのだ。となると、心のゆとりをもてば、人生はちょっとしたことでバラ色になる、あはは。

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