鉄道模型のPC制御:(09) 従来のアナログ車両を無改造で、DCC運転する
承前(先回):鉄道模型のPC制御:(08) JMRI→DP1cs(南福岡急行)→DP1(永末システム)→DF50(KATO)
09-00 概要
DCCでは、デコーダを動力車に載せて、レールからの集電側と、モーター電極との間に置くことで、レールから来る信号を分析し、それに応じた直流をモータ(ないしライト、その他)に供給する。デコーダは恐竜の小脳のようなもので、狭い動力車に乗るくらいに小さく造ってある。機関車などの音を制御するために超小型のスピーカが搭載されているものもある。
そういう単純な理屈が分かってくると、一台一台の動力車に各々高価なデコーダを搭載しなくても、レールそのものにデコードを一個設定すれば、そのレール上では、これまでのすべてのアナログ車両が走ることに気がつく。勿論スピーカーも設定し、それなりの高級デコーダを付ければ、音もでる。ただし、そういう方法は車両の一台一台を自由自在に操るDCCの最大メリットが喪われるわけだが、実際に、実験してみると方法も単純だし、従来のアナログ車両をDCCに統一していくための抜け道、バイパスとしてなかなか便利で面白いことに気がつく。
↑DCCからの電気と信号とをレール直前のデコーダで変換し普通のアナログ電車を走らせる
09-01 デコーダ・EM13を選んで実験した
EM13というのは、日本のKATO社がアメリカのデジトラックス社と提携して外注生産しているようだ。KATOのいわゆる「DCCフレンドリー車両」のNゲージに使われている。モーター制御機能だけなので廉価だが(実勢1500円程度)、位置表示機能もあり、私は高機能だと思っている。
工作は、TOMIX社のNゲージ用レール・フィーダー線(小型ジオラマは半径10センチを有するTOMIXが有利)を途中で切断し、EM13 の二本足のうち、先端だけが真鍮面の側を「レール側」とする。長い真鍮面の足側をDCCブースターから供給される側として、上下にハンダが流れないように、丁寧に接続する。ショートしていない常態をテスターなどで調べ、完了なら絶縁テープを巻いて保護しておく。放熱出来なくなって壊れる可能性を避けるなら、保護テープを巻かずにそのまま適当な放熱穴あきケースなどに入れればよい。(つまりEM13 のケースに穴を空けてそこに押し込む:そこまでするのはいささか趣味の領域であろうか)
↑デコーダEM13の足の表裏に、DCCブースター側とレール供給側の配線をする(足の表裏)
09-02 運転とまとめ
以上のデコーダを、DCCブースターからの線に付け、レールに接続すれば完了。IDはレール全体のものとなり、私は標準の3番のままで使っている。
実験写真は永末システムDP1を使っているが、これはデジトラックス社からのDCCブースターも当然使える。汎用性は高い。要するにEM13デコーダは特殊な「位置表示」機能を持つこと以外は、標準DCCデコーダとしてモーター回転数と前進・後進を制御できる。勿論、PCからのJythonプログラム他による自動化も計れる。
私はこの方法で、HOやZゲージ車両をやや小型のジオラマ(というよりも実験線)で使っている。普通のアナログ車両を、ある程度までプログラマブルにできる魅力は大きい。ただし、センサーをレールに埋め込むような高度な自動化には効率の点で向かないし、またEM13 はもともとNゲージの小型車両用だから、大きなHO車両だと電気容量の面から危ない(笑)。
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