小説木幡記:ランチ(昼食)考
昨日夕方、葛野をでるときにふと「めしや」の幟(のぼり)広告に目がいった。数週間ずっと、マグロ漬けご飯だったが、それに新たに追加されていた。
「マツタケご飯、ミニ290円」
さて、どこの松茸かは分からぬが、今度食べてみようと思った。空を見上げると曇っていた。なぜ見上げたかというと、松茸と聞くと「秋」。秋と聞くと「秋空」を思い出すからだ。案に相違して、空は暗く曇っておった。
それにしても、京都は昨日、今朝と気温がぐっと秋らしくなった。
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で、昨日の昼食は、高辻天神川あたりの喫茶店に入って、Aランチ、すなわち{上等豚肉のピカタ(卵焼き風)、サラダ、味噌汁(キャベツ)、油揚の副菜、ご飯、珈琲}と。
食後に、余は莞爾(かんじ)と笑った。
以前にも大いに気に入ったのだが、実に美味しいわけだ。そのときは串カツだったが、肉が分厚くて、味噌汁もうまかった。で、昨日は豚肉と卵の相性がよく、依然として味噌汁の濃さや温度が最適だった。
余はこのキャベツの入った味噌汁に降参したわけだな。
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そこは老夫婦と、若い男性(たぶん跡継ぎ?)とできりもりしている自家焙煎珈琲の店だった。昔から、珈琲店のランチには美味しいものが多い。何故かは知らぬが、西院にも「ワニの庭」というおもしろい名の店があって、そこも年配の御婦人が取り仕切っていて、ハンバーグ定食が美味しい。
そうそう、阪急西京極駅の北にもハンバーガーの美味しい喫茶店がある。
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余が若い頃、勤め先から派遣されて大阪の昭和町にある大学で司書のお勉強(笑)を一ヶ月ほどしていた頃、一番のお楽しみは近所の喫茶店でランチを食べることだった。
なぜか、随分美味しかった。
食べ物やさんは、一般に入れ替わりの激しい若い人が調理するところは不味い。そりゃそうだ。若い人はよほどのことがないかぎり、味のデータベース(ふうてんさん風用語)が出来ていないから、味覚が壊れているというか未完成だ。料理は化学実験に似ていて、資質や経験も必要だから、マニュアル操作では出来ない。
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その点、調理については半分素人のような喫茶店オーナーが造るランチは、もともと珈琲にはうるさいのだから、素人ながらに「美味いものを造ろう」という意気込みがある。そして経験年数が1年、5年、10年、20年と過ぎると、他では真似のできないランチになる確率が高いのじゃ無かろうか。
というわけで、ふるびた専門店、喫茶店のランチは、たぶん日本中どこへ行っても、比較的美味しいものにありつけると、余は想像した。
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さて、今日は。
あはは、木幡でレトルト・カレーライスでもたべよう。
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