小説木幡記:島田荘司と京都
最近島田荘司の『追憶のカシュガル』を満足して読了したことは、記した。この図書は「タイトル買い」したのが発端だった。何故そうしたかを今から思い出すと、帯だった。そこに「京都大学北門前の珈琲店~」とあって、タイトルの横には<進々堂世界一周>と大きくあって、目を惹いた。
実は。この喫茶店はお気に入りなのだ。(MuBlog記事)
まず「追憶の」という独特の節回し(笑)、修辞にころりと欺された。それと、カシュガルという名称も、ニューヨークやパリや東京よりも、現在の余を惹きつける。<追憶の東京>だと、あんまり心おどらぬ。
この、ちょっと気取った書きぶりと分かってはいるが、わかってはいてもついふらふらするのが人のならい。追憶の嵯峨野、追想の嵐山、追想の葛野物語~と、いろいろ将来書いてみたいタイトルじゃないか、君ぃ~。だからこそ島田先生が書かれたことにショックを受けて、ふらふらと買ってしまった。
タイトル設定は、なかなか大変だと痛感した。
そういえば、森博嗣先生も新書で、「タイトルを決めるのに数ヶ月かかって、決まるまでは書けない、書かない」という意味のことを書いておられた。
さて、もちろん次は何で「進々堂?」、という喫茶店だが、もう、こうなると自分の小説を書いた方がよいので、言及はしないでおく。ただ、島田先生の作品は結構何冊も読んでおるが、最初に読んだ占星術で、西京極近辺が舞台になったような(疑)記憶があって、そのとき以来、「島田先生は、京都と縁があるのかな?」と、ずっと頭の片隅で考えてきた。
それが。
今回は、おおきく、はっきりと、嵐山まで舞台になっているではないか。カシュガルがなぜ嵐山? それは、あはは、ネタバレになるから書かない、言わない、読んでのお楽しみじゃね。
ということで、ますます島田荘司と京都の関わりが気になってきた。島荘研究読本でも読めば、あるいは長編を読み返せば回答があるかもしれないが、なにしろ日曜読者なので、そこまで研究体制には入れない。ここは、想像として、たぶん島荘センセは京都がお好きなんだろう、程度にとどめておこう。
まあ、気にはなるが。
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