小説木幡記:重いSFを好む男
昨日は葛野から早めに帰路につき、河原町のジュンク堂に寄り道した。しかし新刊書の多くは同一作家の物ばかりとか、原発ものとか、なにかしら薄く感じられた。もともとお笑いや軽いもの薄いものが性にあわぬので、書店の書棚の前で呆然と立ちすくんでしまった。
たしかに上手で面白いのだろうが、それにしても、軽すぎるな。身過ぎ世過ぎの文藝世界や時事物もここまでお子様向きになりすぎると、暗澹としてくる。いや~余が歳を取りすぎたせいもあろうか、脳。この世界がすべて十代向けにみえてくるのは~。
というわけで、現代とれとれ物には背を向けて、誰も近寄らないSFコーナーに立ち寄った。そこで突然ある図書が目について、結局上下文庫を買ってしまった。
帰りの京阪特急で、訳者後書きだけちょっと読んでみたが、神聖ローマ帝国とか、中世とか、アビニヨンとかストラスブルクとかブランデンブルグ辺境伯とかあ~いかにも重そうな世界が満載で、余は満面に笑みを浮かべたのであった。ともかく辺境伯だなんて、これを日本に当てはめて、ヤマトン中心世界観からながめると、伊達奥州辺境侯爵とか、島津薩摩極辺境伯とか~、神聖日本皇帝とか、なかなか趣があってよろしいな。
しかし、なんですな。一読して、もしかして軽すぎるSFならこの記事はどうしましょう。それが分かるのは後日のこと。
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コメント
このSFを上下完読したが、なかなか重厚で、良かった。
いわゆる、ジェットコースターに乗った気分ではないので、かえって賞を取らなかったのだと思う。
しかしその記述力が独特で良い。読み始めると止まらなくなった。
SFにはまだまだ宝物が掘り当てられていない。さらに発掘に出かけよう。
投稿: Mu | 2011年7月10日 (日) 21時32分