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2011年6月18日 (土)

小説木幡記:現代学生事情

0aimg_3893 二年生ゼミの一つを担当しているが、このゼミはランダム編成による、いわゆるクラスであって、各学生の志望はばらばらである。今期は他のゼミと共通の方法論をとって、ゼミ担当者が5冊の新書版を指定し、学生はその中から一冊を読み込み、感想・テーマ探求・最終レポート、の3段階を取ることになっている。前二段階は、パワーポイントなどの利用によるプレゼンテーション形式を取っている。

 さて。
 余が今春学生達に提示した五冊とは、~
 作者と余のテーマ主眼は、曽野さん(テーマ:文明文化論)、森さん(テーマ:創作論)、水戸岡さん(テーマ:デザイン)、長尾先生(テーマ:電子図書館)、三中さん(テーマ:分類学)の5分類である。もちろん裏テーマがあって、曽野さんは歯切れの良い裁断女子、森さんは才能を持った天の邪鬼、水戸岡さんは図書館列車、長尾先生は情報学神髄、三中さんは系統樹世界観、となる。以下に、学生達の選択をメモしておくが、余の裏テーマで選んだ者は皆無であろう、のう。

 さて、どの方の新書が何人から選ばれたかのメモは以下である。
   曽野綾子  11名
   森 博嗣   4名
   水戸岡鋭治 1名
   長尾 真   1名
   三中信宏   0名(最初1名いたが、本人難しくて、曽野さんに変更)
 合計17名の19~20歳女子学生

 最初の新書選択・感想発表と、現在のテーマ発表事前草稿の状況からみていると、曽野さんの「老いの才覚」はおおむね好意的に読まれておるが、二三、反発を漏らしまとめる学生もでてきて、面白い。

 森さんは、異口同音に「驚いた」ようだ。作家になるなら他人の本なんか読むな! というテーゼにびっくりしている様子がおもしろい。水戸岡さんは、来年ゼミ選択に余を選ぶ意図を漏らしている学生が一人だが、JR九州のデザインよりも、水戸岡さんの後輩指導方針に感動しているようだった。

 長尾先生を選んだ学生も、なんとなく余を選ぶ意図をもらしているが、きまじめに電子書籍を調べておるようじゃ(笑)。三中さんは、残念ながら誰も選ばなかった。図書の想定内容がアカデミックに見えたのかもしれない。

 いろいろ想いはあるが、ともかく「新書一冊」を一応みなみなが完読した様子なので、ほっとしておる。やはり「本なんか、初めて読んだ!」という学生達もおって、読んだ自分自身に感激しておった。これが現代20前後(大学2年生)の実情である。

 そしてまた、曽野さんはベストセラーになったくらいだから、話題性もあるだろうが、なかなか面白い内容じゃ(笑)。今回、病院やバス亭で、見知らぬ高齢者につきまとわれて、延々と話や愚痴を毎回聞かされる学生の事前草稿には抱腹絶倒した。やはり、老いはきちんと老いて行かねば、はた迷惑なことになる、脳。

 余にすれば、森さんの創作論や、水戸岡さん、長尾先生を選択した学生がおっただけでも、余は感動を大にした。明確に言っておこう。この御三人の著書は新書の性格上糖衣はある程度かぶせてあるが、実に気むずかしくて難解・高度なものである。これを、20前後の女子学生が読むなんて、まだまだ日本はすてたものじゃない。
 三中さんのは、ちょっと分厚い新書だし、難しそうだが、情報図書館学の主題分析や、継承関係に開眼したら、きっと喜んでくれるだろう~

 さて、最終レポートは七月になる。結果が楽しみじゃ。   

追伸
 来年は、邪馬台国問題など、古代史新書も一冊そっと混ぜておこう(邪笑)。

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