NHK江(24)利休切腹:極小極大の茶
今日は、本当に重い場面でした。利休はついに切腹を命じられたのです。命じた秀吉も、命じられた利休も、ともに不世出の偉才でした。本当に、あの時代~、信長、秀吉、利休。信じられないほどの偉才が開花していたわけです。
俳優の石坂浩二さんと、千利休さんとは、ドラマの先週・今週では実年齢が丁度同じのようです。石坂さんへの言及はあまりしませんでしたが、昔からお気に入りの俳優さんでした。今回も独特の関西弁というか、堺弁なのでしょうか、幼い頃の江とのものやわらかな語り口が、耳に残っています。
ずっと、千利休という人の新しい姿を見ている気分でした。皮肉っぽくて、頑固で、鼻っ柱が強くって、美味しいお茶をいただけそうで、清潔な茶室で清潔なお茶をごくりと飲む気分になって、ああ、お茶ってそういうものでしたか、美味しいです。欠けた竹筒に一輪。さわやかな風の音を聞く利休。それが見えない聞こえないと涙を流す秀吉。そして戦国武将達が目をつぶってお茶を一杯、明日は死の出陣をしていく前に、ほろほろと本音や愚痴の一片を眼前の師匠に語りたくなるような、今度の石坂・利休は、場面に出てこないところまで想像させて、なかなかに、納得できました。
お茶好きの秀吉が世間に広めた茶に関する多くのイベントは、利休が演出したとかんがえてよいわけで、この点では極大のお茶世界でしたでしょう。そして、狭苦しい茶室で黒っぽい茶碗にいれて差し出すお茶は、極小世界のお茶だったのでしょう。どうしても秀吉には見えない世界、そこを演出する利休。好きな人、面白い人にしか茶をいれたくないと強情はる利休。涙する秀吉。きっと、……。私が秀吉なら、同じように、利休に切腹を命じる事でしょう。
さてそのように、今夜ついに秀吉との確執が捻れきって、利休は切腹を賜ります。打ち首、磔獄門ではないので、これは他の刑死とは異なります。
ふむ、この話は今となっては、秀吉も利休も、どちらもどちらと言って良いでしょう。しかし秀吉がまともだったとも思えません。70過ぎの爺さんにしわ腹切らせるなんて、かつて狂騒の室町幕府将軍・足利義教(よしのり)が70過ぎの世阿弥に佐渡遠島を申しつけたのと同じくらいに、政治家としては落第所行です。
徳川家康への関東・国替えの強制。朝鮮使節への横暴なふるまい。利休への切腹命令。こういう中で補佐役、弟の秀長が郡山で病死します。これからは、利休が言ったような、だんだんますます「おもしろく無い」秀吉を見ることになります。
そして、江はまだまだ右往左往しています(笑)。来週、再来週にはまた嫁に行くようですね。
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↑豊臣秀長(秀吉の弟)の居城、大和郡山
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