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2010年12月26日 (日)

葛野司書・共同演習(2010後期)情報サービス・資料組織Ⅰ 

承前:葛野司書・共同演習(2010前期)情報図書館学・資料組織Ⅱ 

 2010年12月16日に、「情報サービス」及び「資料組織Ⅰ(分類)」の作品(9月からの共同演習成果)が提出されました。写真整理が完了しましたので、各作品名の簡単な感想や写真を記録します。

1.情報サービス:専門主題のレファレンス・ツールを作る
2010jop640
助勤→佐藤(は)局長2010、曽我書記局長2010
特別参観→吉村経理局長2009

S1 嵐山周辺にある小倉百人一首の石碑についてのレファレンスブック
S2 夏の課題図書
S3 宮廷女官チャングムの誓い
S4 ONE PIECE
S5 『ガラスの仮面』のレファレンス
S6 近畿地方の妖怪
S7 藤沢周平
S8 日本の歴代首相

2.資料組織Ⅰ:専門主題の分類表を作る
2010bop640
助勤→佐藤(ゆ)経理局長2010、曽我書記局長2010
特別参観→吉村経理局長2009

B1 島津創業記念資料館の教育理化学器械の分類
B2 『5分間ミステリー』の分類
B3 川端康成『掌の小説』の分類
B4 彩色絢美
B5 ターシャ・テューダーの絵本の分類
B6 KARA-AGE分類 99選
B7 阪急電車の駅の分類
B8 日本の硬貨の分類

3.二科目の感想
 私と助勤の正式な講評は2011年1月刊行の機関誌・教材「Truth」34号に、上位3席の発表と、全作品へのコメントを掲載します。また特別参観者の感想文・寄稿もあります。

 <情報サービス>は洗練された質のよい情報整理と、目もくらむ大量情報の手際よい処理とに、二極化しました。
 前者、洗練された作品は{S1百人一首、S2課題図書、S3チャングム、S7藤沢周平}が該当し、対象世界全体を把握できる作品になりました。助勤はこのシンプル・イズ・ベストに高い評価をだしました。また、実際の成績とは独立した特別参観者の評価感想も、現役助勤と重なっていました。

 後者、大量情報処理の手際よさは{S4One-Piece、S5ガラス仮面、S6妖怪、S7首相}で、もともと情報量が多いか或いはとらえどころの無いテーマなので、迷路を歩むような印象となりました。これは学生相互評価(平均)と私が、比較的に高い評価を出しました。
 今期分かったことは、大量情報を対象としたときは、相互関係情報を結合するためのアクセス・リンク自体に、階層性(分類と言ってよいです)が必要なことです。昨年度は、それを「中間リンク」としてうまくまとめた作品がありました。

 <資料組織Ⅰ(分類)>は、内容を深く読み込み、各記録が持つ多様性を表にまとめ、その行列が交わるところに記録を並べていく作品と、対象情報全体をだれが見てもわかりやすい階層にまとめ上げたものと、大きく二つの違いがありました。
 代表的な作品をあげるなら、前者の行列表による分析は{B2ミステリ、B3 川端康成、B6 kara-age}が顕著でした。残りは「わかりやすい階層分類」が取られています。
 今回の評価は、私と助勤と学生相互評価、そして特別参観者の感想、その全てが大体一致しました。ただし、私はこの中でも、数点の行列表による精緻な分析をほどこした作品には高い評価をだしました(笑)。

まとめ:科目目的
 さてそこで、かねがね思っているのは、科目の目的を明確にすることが、すっきりした作品を作る秘訣だと思いました。ただしその中で、前期の「未来の図書館を造る」は情報を整理整頓するよりも、未来環境の整備ですから他の三つとは道筋が異なります。これは別の機会に話します。

 主要三科目で大切なことは、それぞれの作品を構成する手法が、実は密接に関連していることの把握です。

 A:資料組織Ⅰ(分類)では対象情報群(テーマ情報)をしっかり集めて、内容を分析し、一意に分類すること。
 B:資料組織Ⅱ(目録)では対象情報群が持つ自然な性質に従って一意に記録を並べ替え、多様な索引を作ること。
 C:情報サービスでは、対象情報群をいくつか(多義)の視点で(A+B)としてまとめ、
   その視点間の関係を結合すること(アクセス・リンクのセット)。

 ということで理屈を書き出すと結構難しく感じるかもしれませんが、各年次のほとんどの優秀過去作品は自然に上記目的を達成したものです。そういう目で再度過去作品にあたってみると、理解が深まります。
 では来年にまたお会いしましょう。

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