小説木幡記:2010/12/28(火)電子書籍は読まれるか?
「寒い」と思うようになった。昨日早朝に明治天皇陵麓の道を通り過ぎたとき、外気温(道路温?)は零度だった。夏も冬も寒暖差が激しい。例年の晦日はもう少し温かいと記憶しておるが~。
寒さについては、京都は2月頃が一番冷える。その記憶と今が同じだから、例年になく寒いと思ってよいのだろう。
一昨日、木屋町御池「豆水楼」のNDK忘年会では、豆腐を喉に流しながら、「電子書籍の普及もまだまだだね」「どうして? 僕は数冊購入したよ」「だってね、本を読まない人間の方が多いんだ。誰も、読まない」「民度がますます下がってきたのか?」「異様なくらいに、知的な関心がなくなってきた」「要するに、猿とかアメーバー化してきているわけか」「そうだよ」「大学進学が60%になった現代がか?」「勉強嫌いが多いのだろう。アルバイトしてる方が充実している学生ばかりだ」「出席はほどほどにある」「~、先頭切って読書模範を示す教授連が本を読む時間がなくて、ほとんどの学生は読書や勉強から逃れるためにバイトしているようなもんだ」「だれも、本なんか読まない」「人類の猿化末期症状だな」「先祖返りだ」などと、過激な。
ところで皮肉なことにその夜、学生(2回生)からレポート草稿が送られてきた。課題内容は電子図書館やそこで働く電子司書の役割に関するものだ。よいレポートじゃった(笑)。使われていた参考記事が話題に重なるのであげておく。
(1)読書に関する調査。電子書籍を利用したことがあるのは、23.7%。2010年10月27日(iMiリサーチバンク)
(2)電子書籍利用者約25%、そのうち7割強は「今後紙の本を主に利用したい」2010年10月30日(Garbagenews.com)
うむ。
こういう話をするときには、そもそも参考サイトの信用性、信憑性、調査分析方法論の妥当性から論じることになるのだが、余の記事は「論文」ではないので、「世間には、こういう解釈がありますよ」程度にとどめておこう。
すると、NDK話題ほどには、読書人口は少なくない。本を読むことがないのが、7%程度だから残りの9割はなんらかの読書をしている(漫画はのぞく)。ただしその読書内容は、調査の主目的にはないので曖昧だ。NDKの賢者達の考えでは「新興宗教からみ、自己啓発書、タレント本、馬鹿本(最近も話題の馬鹿本があったな)」がベストセラー上位で、つまり読書に値しない、脳を動かしてはいない、本を眺めているだけ~となる。
で次にお目当ての電子書籍読書だが~。
電子書籍を利用した経験者は25%程度で、そのうち有料電子図書を購入したのは全体の6%くらいにすぎぬ。これが2010年終盤の現状のようだ。一番の問題は、今後電子書籍を利用したいと答えたのは同じ6%ということだ。
NDK賢者達の話では、数百円の文庫も買わぬ連中が、どうして1~2万円もするリーダーを購入する? だった。それで余が子どもっぽく、「しかし文庫一冊の大きさに、1400冊も格納できるよ」「あははあ、文庫一冊も読まない人間がどうして、1千冊も読める! 一生かけても読み切れないぞ」~うむ。しかり。そうじゃ。反論できぬ。
む。
むつかしい問題じゃのう。
電子書籍、電子図書館評論家Muとしては、もう少し希望的なことを書きたいが、おそらく当面はNDK賢者達のいう冷徹な事実が主なのじゃろう。ただし、漫画本と電子書籍という伏兵が潜んでオル。これが意外なほどの変化をもたらすのかもしれない。と、それが余を入れた当夜の者達の内奥の声じゃった。
ああ、余はiPadで映画を見るのが一番よろしい(笑)
追伸
そもそも電子書籍化するというのは、従来の本が映画のようになってもよいわけじゃ。納得。
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