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2010年12月 3日 (金)

小説木幡記:2010/12/03(金)満鉄あじあ号の(列車)図書室

Mudsc00026 昭和十年代の満鉄(南満州鉄道株式会社)に特急あじあ号が走っていた、そうだ:余は見たことはない。大連~新京の700kmを8時間30分で行き来した。先頭の蒸気機関車は流線型でパシナ形と呼ばれている。最高速度は120km時速、冷暖房完備で乗り心地は静粛だった(らしい)。
 鉄道マニアだと真っ先にこのパシナに目がいくだろう。線路の規格(1435mm)といい、車両の大きさといい、現代の新幹線が満州の直線路をひた走りに走っていた、と想像できるほど斬新な設計だった。たしかに模型でも色は異なるが、満鉄あじあ号は新幹線模型と同じ大きさ、似た雰囲気になっている。
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 →市原善積さんの書かれた『満鉄特急あじあ号』は、氏が直接この特急列車建造にかかわった経験から得た内容で、好奇心にかられて各ページ、写真、文章を興味深く読んだ。その中の一節が目をひいた。

なお展望車と一等座席との間には書棚とテーブルがあり、快く旅の手紙がしたためられるし、読書やカードも楽しむことができ、またマグネット式碁盤、碁石も備えられて囲碁愛好家に喜ばれていた。(展望一等客車 p183)

 この一等展望室の図面は同書のp246-247にあって、車両長が24.696m、幅3m、高さ4.2mと、いわゆる25m級の大きさで、これは新幹線の客車と相似である。ちなみに在来線の車両は大抵は20m長、2.5m幅、と小振りになる。

特急列車図書室
 この図面を見てみると、たしかに展望室と一等客席の間に机・読書室そして書棚という表記が見られた。設計者達は、単純に机を置くだけでなく、ここを読書コーナーとして設計していたことがよくわかる。これで、ここ数年来気になってきた「満鉄には(列車)図書室があった」という伝説の一端が氷解した。

 現代の新幹線と大きさが同じで、速度だけが120km時速とすると、なんとなく以前に乗車した近鉄「楽」を思い出す。「楽」は乗り心地が静粛だったことと、直線が続くことから、新幹線と変わらないところがあった。車内で読書することも自然にできた。しかし昔(70年ほど昔)の満鉄は、現代に通じる特急車両に、設計図面レベルで「読書室」を設定していた。これは設計思想として、日本の鉄道図書館列車の幕開けだったのだろう。

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