小説木幡記:2010/11/23(火)勤労感謝の日とは新嘗祭(にいなめさい)
明治時代以降、11月23日は新嘗祭だった。天皇が五穀豊穣を祝い、新米を食されたよし。大東亜戦争後は占領軍GHQの指導により国民的新嘗祭は廃止され、代わりに勤労感謝の日が設定された。ただし宮中祭祀としては現在もあり、また伊勢神宮での祭りはとり行われている。
「嘗」という漢字の意味は、白川静さんによれば、なめる(食べ物を味見するの意味)であり、「神にお供えを薦めて祈るのに(神が)応えて、神が来るのを迎えることをいう」(常用字解)とあるから、そこに「新」がつくのだから、天皇が新しく採れた五穀、新米を神様と一緒にいただくことになる。
さて。勤労感謝も新嘗祭も、現実のMuの生活からは遠いのだが、一つの記憶が鮮やかに残っている。
高校生の頃だったはずだ、11月23日(日本時間)に日米衛星回線が初めて生中継されて、そこで見たのはアメリカ大統領ケネディが暗殺された場面だった。余は確かにその画面を見ていた。
毎年勤労感謝の日がくるとJFKを思い出し、大学生の頃にはその二日後(11月25日)に三島由紀夫が市ヶ谷で自死した。この二つはTVでしっかり見たので毎年眼前に蘇るが、親しいような遠い世界のような、なにかしらリアリティが欠落し透き通ったような記憶でもある。若い頃にいろいろ味わった意味内容と最近の余の気持ちとは、異なってあたりまえだが、近頃は「ケネディも三島も、40代半ば。若かったなぁ」と、思っている。
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