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2010年11月19日 (金)

小説木幡記:2010/11/19(金)繰り返し繰り返し~黄昏とLOH

Mudsc00033 くりかえし過去への追想にふけり、頭の中で繰り返し繰り返し昔話のひとりごとし、人に語り、記事に書いたりすることがある。葛野あたりと嵐山や嵯峨野は近いので、そのあたりをクルマで走るたびに幼稚園時代や小中高大学時代を思い出す。そして日々の現実は繰り返し繰り返し授業があり会議があり学生達との行き来がある。年々歳々、歳々年々、やることなすことは同じだが、人の顔ぶれだけが変わっていく。背景の書き割りはいつも同じ風景だ。

 そこで問題がある。
 未来への繰り返し繰り返しの想念投機は気質の影響がありすぎて、いわゆる、もう10年ほどしか生きられないだろうな~という思いと、あと10年も生きられるだろう、という思いのせめぎ合いになる。そこでこれまでの、特に20代や30代の価値観とは異なる世界に直面し、なにをよすがに未来を考えるべきかを迷うことになる。若い頃なら、がんばって課長や部長や社長になって給料高くなるぞ~とか。よい研究を残して教授になって学会賞をもらって鼻高々になって世間の役に立つぞ~とか。早く結婚して子供をつくって家を建てて両親を安心させるぞ~とか。そう。若いころはなにかと「希望」を持ったとき、明るく建設的な人生を描ける。

 ところが、そこで。
 もう、これ以上は子供もいらぬ。社長も教授も、もうしんどい。家はぼろ家でよい。研究はこれ以上はもう何も出てこない。とまあ、そういう季節が人生には訪れる。だから、その地点からの人生は別の価値観がないと生きにくい。このごろになって、楽しむことと飽きることと絶望することと、夢を追い続けることと、なんやかんやがよじれたようなバランスの悪い組紐がちらちら見える。

 そんなある日のことでした。
 最近のTVでLOH症候群という言葉を初めて耳にした。その時間帯は丁度、テルマエ・ロマエ/ヤマザキマリという漫画大賞を取った評判の漫画に熱中しておったので、LOH番組を見なかったが、要するに男性の更年期症状がはっきりと世間で認知されだしたらしい~それによると、余などは心中「余の人生もたそがれじゃのう~」と詩的に思ってきたのに、なんのことはない、世間一般での50以上からの男性は、男性ホルモンが枯渇して、心身、気力の充実が衰えてくるという当然の状態らしい。

 余が認識をあやまっていたのは、どうにも、余の周辺の40~70代の男達が(風雪一家や、恩師や先輩や研究仲間や後輩や)みんな元気すぎてLOHとは縁遠い風情なので、その分詩的な「たそがれ感」とか「終末感」に「寂寞感」は余一人で受け持っている気分だったが、ちょっと認識をあらためて、余も焼き肉・ホルモン焼きやニンニク、タマネギを常食してサウナに入って、元気を取り戻した方がよいのかもしれない、……。と、思った。

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