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2010年11月21日 (日)

NHK龍馬伝(47)大政奉還:タイムマシンに乗った龍馬

承前:NHK龍馬伝(46)土佐の大勝負:象二郎・容堂・龍馬

 坂本龍馬が薩長同盟の周旋に成功し(1866.1)、後藤象二郎を通して山内容堂が建白書を徳川慶喜にわたし大政奉還が成り(1867.10)、龍馬と中岡慎太郎が暗殺され(1867.11)、戊辰戦争が始まり(1868.1)、江戸城が無血開城し(1868.4)、明治維新政府が成立しました(1868.9)。こうして、あまりに事態の動きが速く、たとえ幕末明治初期に生きていても、当時の多くの人たちはなにがなにやら分からない状態だったと思います。

 源頼朝によって鎌倉に幕府が開設されたのは1192年のことでした。鎌倉幕府が滅びて後醍醐天皇を中心に建武の中興があり、すみやかに足利尊氏によって室町幕府がなったのは1336年。そのあと、複雑ですが、戦国時代をへて織田信長や豊臣秀吉が政権を握り、徳川家康が征夷大将軍となったのは1603年。この間平氏の時代もありましたが、1192~1868まで武家(幕府)政権が700年あまり続いたわけです。最後の将軍徳川慶喜はそのことに終止符を打ちました。
 そして。ドラマ龍馬伝では、時代をそのように動かした中心人物こそ、龍馬だったのです。

 ~
 実は、見ていて言葉もなかったです。
 坂本龍馬は恐ろしいほどに激しい改革の仕掛け人だったわけです。ドラマが上手に描かれたせいもありましょうが、信じられない思いがします。

 龍馬は、不倶戴天の仲だった薩摩と長州とを結び付けることで、徳川幕府軍による長州破壊を食い止めました。このときの交渉材料は、幕府の攻撃を前にして武器弾薬を切実に求めた長州に、龍馬がそれを提供します。資金提供したのは薩摩でした。薩摩に対して龍馬の話は、幕府が長州を滅ぼせば幕府の威力は増し、自由な貿易はできなくなり、今度は薩摩が幕府に狙われる、という趣旨でした。

 一旦薩長が結べば、この力は強力となり、両藩はなにがなんでも徳川を武力攻撃することに専念しだしました。これを放置すれば、内戦状態となり諸外国の付け入る隙を作ってしまいます。その上、薩長が勝利すれば単純に徳川から薩長に政権が移るだけで、おそらく土佐の上士、下士に象徴される世の中の仕組みは、なにも変わらないでしょう。

 そこで龍馬は、徳川が政権を朝廷に返上する道を見つけ、後藤象二郎を説得し土佐藩にその役割を振ります~。徳川が朝廷に政権を返せば、薩長は徳川攻撃の大義名分を喪うわけです。
 と、龍馬物語を書けば書くほど、龍馬の優れた、時代を超越した先進性がよく分かります。

 そして今夜。
 大政奉還はなりました。しかしあらゆる方面から、龍馬憎しの声が上がりました。龍馬は進み過ぎたのでしょう。突出しすぎたわけです。まるで昭和戦後の世界を見た人間がタイムマシンにのって幕末に飛んだような状態でした(笑)。
 本当は、おのおのの思惑が大政奉還によって、壊されてしまい、その後どうすればよいのか分からなくなったのでしょう。慶喜は徳川を壊したことに呆然自失。薩摩も長州も敵を見失い、……。その元凶が、坂本龍馬だ! という大合唱になってしまいました。
 この上もない悲劇です。来週は、そのとどめです。

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受信: 2010年11月28日 (日) 18時44分

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