小説木幡記:2010/11/22(月)目玉焼き
昔なら親子丼用に使った直径の小さなフライパンがある。11月の午前五時は外が真っ暗だ。しかし暖房は使わない。オリーブオイルを数滴フライパンにたらし、薄紙で引き延ばす。ガスを思い切り開いて強い火力で熱する。数十秒後に手頃な卵を割って入れる。ジュジュジュとよい音がする。一分も経たない間に塩をほんのひとつかみ。粒で数えられるほどの少量を卵に振りかける。コップに数CCの水をいれ、そのままフライパンの卵に流し込む。パチパチと威勢良く飛び跳ねる。
それで終わり。
余の考案した目玉焼きは、水を数CCかけた後、蓋などかぶせて蒸らさないところにある。蒸らすと黄身が白身で包まれて隠れてしまう。目玉焼きのまま、黄身が黄身らしく、かつそれなりに半熟よりほどよく硬く、味わいがよくなる。
フライパンからはスプーンで目玉焼きをはがし、皿にのせてスプーンでそのままいただく。添え物かけ物は一切ない。サラダもソースもマヨネもケチャプも不要なり。卵本来の味わいがあって、一日分の気力が充実する。
注記:数滴のオリーブオイルと数CCの水の威力故か、卵はスプーンだけで簡単にはがせて、フライパンの汚れがほとんどない。
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コメント
おいしそうですね
Mu流目玉焼き楽しく拝読しました。
目玉焼き一つにもいろいろあるのですなあ。
まこと料理は十人十色ですねえ。
卵の個数が語られていませんがまさか一個じゃないでしょうね。
(黄身が黄身らしく)
アメリカ方面ではこれを、
(Sunny side Up)
いいますね。
塩パラパラッだけで卵の味そのものを味わう。
よろしいですねえ。
当方などは以下の如くです。
フライパンを煙が出るくらい熱する。
オリーブ・オイルをドボ、ドボ、ドボと注ぎ込む。
やはり煙が立ってくる。
そこへ卵を2個落とす。
すかさず蓋をして油が飛び散るのを防ぐ。
しばらくして火を止め、ちょっと待って蓋をとる。
オリーブ・オイルに浮かんでいるような目玉焼きをオイルごと皿へ移す。
醤油を池波正太郎風に(まわしかける)。
目玉焼きを食した後にオリーブ・オイルと醤油が黄色と茶褐色の2色の海となって残っている。
そこへ暖かい御飯をしゃもじ半分入れる。
よくかき混ぜると(インスタント・リゾット目玉焼き風味)のできあがり。
目玉焼きもリゾットも箸で食します。
長々しいコメントらしくない独り言、失礼しました。
投稿: ふうてん | 2010年11月22日 (月) 13時28分
ふうてんさん
いやはや貴重な記事をいただき、感激しました。
1.Sunny side Up : 黄身が黄身らしく仕上がる目玉焼き
こういう英語用法があったのですか。ちょっと禅問答みたいな直訳になりそうですね。米流もなかなかイキなところがあります。そういえば、ハードボイルドだなんて、なんでユデ卵をネタに文藝ジャンルを決めたんでしょうか。よほど、卵好きな国なんでしょうか。
2.オリーブオイル付けギリシャ風卵焼き
最初に読んだ時は目が点になりました。まず、卵ってずっと一人一個という世界観でいきてきたので、のっけから卵二個が最低ラインのような調理をきくと、どきりとしました。まるで夜店の西洋焼き菓子屋台に、数百個の卵殻がいつも飾ってあるような、不思議な思いがしました(Muの幼年時は、卵をどれだけ使った菓子か! という売り文句からか、屋台には一杯卵殻が積んでありました)
次に高価なオリーブオイルを、ドボドボだなんて。耐えられないなぁ(笑)。これじゃまるで、天ぷら卵じゃなかった、唐揚げないし素揚げ卵に思えます。しかし、贅沢なだけあって、これだけで栄養満点、美味しくいただけそうですね。そえ味が醤油だなんて、泣かせます。(生わさびも付けたらどうでせう)
3.リゾットは苦手
食の苦手は少ないのですが、油のたっぷり入ったチャーハンのような、炒めメシのような、こういうなのは、如何に尊敬する池波さんやふうてんさんが、醤油をかけてかきこんでいても、Muは手を出せません。だしたとたんに、お腹を壊してしまいます。
*.で、永遠の奈良ホテル朝食・プレーンオムレツ
いつか昔、ふうてんさんのガイドで、プレーンオムレツとビールとブラック珈琲をのんだ時のことは、永劫不滅の記憶です。あれほど斬新で、美味しく、美しく卵をいただいた記憶はないですね。そして、ビール。珈琲。ぴったりあいました。
ではまた別の調理をいつか~
投稿: Mu→ふうてん | 2010年11月22日 (月) 16時53分