« 机中のカシオペア号:図書館ジオラマ | トップページ | 小説木幡記:2010/10/19(火)TVの中でiPad:メディアはひとつになった »

2010年10月17日 (日)

NHK龍馬伝(42)いろは丸事件:万国公法

承前:NHK龍馬伝(41)さらば高杉晋作:人生と志、その死と生

 今夜も息を詰めてドラマに埋没しました。ここ数年間、「新選組!!」以来、私はどうにもNHK大河ドラマに肩入れしすぎて、半ば依存性になって、毎週一回は脳を真っ白にしてその描かれた時代や場面に心身を飛ばしてしまいます。TVのよさというか、時間が経つと現代現実に戻れるのですが、このまま行ったきりになってもおかしくないくらいに、今夜も堪能しました。

 さて、いろは丸事件。ドラマでは、紀州藩の蒸気船・明光丸が800トン、見張り士官なしで夜間航行をしていたようです。一方海援隊のいろは丸は160トンで、見張りはいたようです。船のことを調べずに言うのもなんですが、見張りはいなくても操舵室には人がいたんでしょうね(笑)。船は大きいから、障害物を見つけてもあらあらあれーという間に突き進んでしまう厄介な性質があります。自動車だとブレーキとか切れのよいハンドルがあるわけですが、~。

 紀州藩は海援隊との談判で、ことあるごとに御三家の御威光をちらつかせます。追い詰められると幕府の裁定を仰ぐと言い、これは長崎奉行ですから、海援隊には分が悪くなります。土佐の後藤象二郎は、当初は御三家相手なら泣き寝入りしかないと思いますが、龍馬に「紀州一国に勝てずに、どうして幕府に勝てる?」という論法に心を動かし、龍馬や岩崎と一緒に談判の席に着きます。

 そのころ長崎ではやった俚謡は本当なんでしょうかね。船を沈めて逃げた紀州に、よさこい節の国は、「金を取らずに国を取り、ミカンを山盛り食べた~」という、なんとも珍妙な土佐の高知のヨサコイ節ですね。
 ここで若い人向けに翻訳すると、よさこい節は私が若い頃の一般歌謡曲としてペギー葉山という人の歌がものすごくはやりました。江戸時初期から土佐の民謡です。ドラマではそのいわゆる替え歌を長崎ではやらせて、紀州の面子をつぶしたことになっています。
 もうひとつのミカンですが、これは三波春夫さんの歌謡浪曲にもありますが、紀伊国屋文左衛門とかいうミカン商人が嵐をついて江戸へミカンを運んだ、……。要するにミカンは紀州和歌山の象徴です。

 もし、はやり歌を長崎にひろめて紀州藩を狼狽させたのが事実なら、坂本龍馬という人は、本当に現代的な方だったんですね。紀州藩の勘定奉行が最後に、才谷梅太郎と名乗る龍馬に「お前は一体何者なのだ!」という驚愕をともなった詰問の意味がよく分かります。こういう宣伝、煽動を自在に操る龍馬は現代人でもあるし、意外や意外、上忍:忍びの者かもしれませぬ。予断ですが、忍者集団も上級の忍者になると、こういう人心攪乱を得意としたようです。

 万国公法を持ち出して、幕府介入を押し切り、紀州藩に岩崎弥太郎発案のぼったくりというか8万3千両を弁済させたのは、龍馬の知恵と勇気だったと思いますが、こういう国際法を守らないと、「紀州は諸国から野蛮人の集まりといわれ、それはひいては朝廷(日本)の恥になる」と言ったのは、現代でも通用する論法だと思います。
 
 現代も大国などでは、野蛮人の集まりと言われても威力で押し切る考えもありますが、当時の紀州藩の勘定奉行とか御三家紀州は、理が分かる人だったのではないでしょうか(と、想像)。世界から野蛮人と思われることが恥であり、国益を損なうという考えは、幕末の一部の識者達には共通の認識だったのでしょう。なんとなく、後日の大政奉還が通ったのは、そういう理の通る余地があったからだと想像しています。

余談:エピソードの列挙展開
 ……、薩長同盟、寺田屋事件や、霧島旅行や、いろは丸事件、次週の船中八策、英国水夫殺害、大政奉還、龍馬暗殺、……。NHKの竜馬がゆく、を見たり最初に司馬さんの小説を読んだのはもう40年を超えた昔のことです。10年前にも司馬竜馬を再読しました。そして今回の龍馬伝。
 絵に描いたように小説よりも奇なエピソードが連続します。もちろんドラマとして描かれているわけですが、まるっきりの嘘でもなく、坂本龍馬という人がいて、今夜の「いろは丸」海難談判を海援隊隊長としてまとめたわけです。不思議を通りこすようなエピソードの連続です。

 今夜、広島県福山市の鞆の浦が紹介されていました。遭難した時に救助されて泊まった旅籠や、談判した料亭が写っていました。福山市は綺麗な町だと思いましたし、そういう龍馬の遺品を丁寧に保管し、遺蹟も大切にしているようですね。感動しました。

|

« 机中のカシオペア号:図書館ジオラマ | トップページ | 小説木幡記:2010/10/19(火)TVの中でiPad:メディアはひとつになった »

NHK龍馬伝」カテゴリの記事

コメント

パロディー!プロジェクト、通称パロプロのづんくです。龍馬がパロディ=ソングを作っていたなんて愉快ですね。僕も尖閣諸島問題のパロソンをちょっと前に作りましたよ、一番はこうです:

剥がれる 化け皮 政治主導は
威嚇に のまれて 尖閣も なくなる

「ねえ 放しても ああ 責めるなら
ねえ いっそ この私 身を投げましょうか?」

あなた なぜか 蚊帳の外 悲しみの日本国
夢を見失い 絶望の淵
落ちる国威は 上がることのない
まるで 二流国

YouTubeで歌っています。楽しめるかも。

投稿: づんく | 2010年10月19日 (火) 07時44分

上記「二流国 じゃダメですか」のURLです:
http://www.youtube.com/watch?v=5WdQKTKSZt4

投稿: づんく | 2010年10月19日 (火) 07時46分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: NHK龍馬伝(42)いろは丸事件:万国公法:

» NHK龍馬伝(43)船中八策:タイムマシンに乗った龍馬 [MuBlog]
承前:NHK龍馬伝(42)いろは丸事件:万国公法  今夜のドラマ「船中八策」を気に入ったのは、龍馬がそれまでつきあって教えられてきた多数の人たちの考えをまとめて、大政奉還の後の世の中の仕組みとした、という描き方に感心しました。  横井小楠、高杉晋作、勝海舟(海軍)、桂小五郎(大政奉還)、武市半平太(近衛兵)、河田小龍、久坂玄瑞、吉田東洋。  どなたが八策のどれを龍馬と語り合ったかは覚えていませんが... [続きを読む]

受信: 2010年10月24日 (日) 19時34分

« 机中のカシオペア号:図書館ジオラマ | トップページ | 小説木幡記:2010/10/19(火)TVの中でiPad:メディアはひとつになった »