小説木幡記:2010/10/14(木)梅に鶯、松に鶴
和歌山特産の高級梅干し南高梅:なんこうばい(うめ)を蜂蜜に漬けて、洋菓子風にして結婚式の引き出物にするのがあたったようだ。名付けてウェディングプラム。
さて、商売繁盛はよいことだし、余にも「食べてみたい」と思わせるような商品工夫で万々歳だが、名称のことで気になった。近頃の若者は「梅干し」という言葉に古くささを感じるので、横文字で「ウェディングプラム」にしたとのこと。
そのことで西洋風梅干菓子が売れればそれはそれでよいのだが、~どうにもひっかかった。
商売ごとだから、ウェディングプラムと名付けて売り出した所の考えについては、何も言わないつもりだ。商売はいろいろな工夫をしないと立ちゆかなくなると、よくわかる、……。
腹立たしいことの一つは、縦の物を横にしただけで客が喜ぶという、そういう馬鹿な客がいることへの嫌悪感じゃな。
梅干しが、なぜ悪い! という雄叫びを上げそうになった。
もう一つは、カタカナにしただけで新しい物と思い込み、新しい物はよいことだと思う、そういう客の浅薄さに対する、同じ人類としての言いようのない居心地の悪さだな。猿と同居しているような、同じ扱いを受けているような悲しみを味わった。
梅に鶯、松に鶴。
こういう自然な風景をイメージして豊かな気分になるような、そういう教育が無くなってオル。梅干しを古くさいと思う者は、梅に鶯、松に鶴というても、なんのことかわからんやろう。無教養とか言う前に、その者らの白々しい殺伐とした脳内風景を想像して、悪寒したのであった。
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