小説木幡記:2010/10/01(金)昨日、盛りだくさんな一日:戦艦大和
10月に入った。
昨日は葛野の仕事がもりだくさんあった。さすがに夕方になると息があがり、別室でジオラマを制作していた倶楽部幹部には、早めにお引き取り願って施錠した。
どうしてだ? と思うほどに小さな雑務が次々と湧き出でて、なかなか壮観な仕事リストだ。細かなことまで人手がかかる、というのが大学の常態なのだろう。
ここ数日は長袖を着用している。今夏を思い出すと長袖がまだ存在していたことに驚きを味わった。秋とともに、徐々に心身が楽になってきた。じわじわと。ただし、客観的には気ぜわしさと、気持ちの整理と、いろいろなまとめに神経がすり切れんばかりだ。そういうよしなしごとを、人ごととわりきれば、楽になってきていると言って過言ではない。
どのような場合も、個々の人生と対置した世間や組織とは、別の動きや流れを持っているのだから、かみ合うこともあるだろうし、まるで人ごと対岸のことになってしまう。そうして自分自身さえも「対岸の人」と思ってしまうと、現実の繁忙や過酷さとは違った別の世界を個々に得ることができる、……。
吉田満さんが残した名著『戦艦大和ノ最期』(講談社 文芸文庫)がある。この版はカタカナ表記で、当時の雰囲気が行間からわき上がってくる。ときどき最期の段落を眺める。今朝も机上の文庫を広げて、眺めた。そして今朝も、日常を乗り越えていく勇気をくれた。
徳之島ノ北西二百浬ノ洋上、「大和」轟沈シテ巨体四裂ス 水深四百三十米
今ナオ埋没スル三千ノ骸(ムクロ)
彼ラ終焉ノ胸中果シテ如何
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