NHK龍馬伝(38)霧島の誓い:降臨神話
承前:NHK龍馬伝(37):龍馬の妻:一所不在
今夜は龍馬とお龍とが仲良く霧島の高千穂に登ったのが主でしたが、他方、亀山社中の池内蔵太(いけ・くらた)が難破し死亡、後に残されたお元がかわいそうでした(内蔵太はお元に結婚を申し込み、龍馬への想いに複雑な心境ながらお元は喜んで受け容れました)。あるいは幕府が十数万の兵を率いてついに長州を攻めます。高杉晋作の率いる軍は4千だったとか。イギリス公使パークスは、その前に薩摩と長州とに援助を申し入れました。岩崎弥太郎は、後藤象二郎から藩の商売(長崎で外国との)を任され、通詞にジョン万次郎まで預けてもらいました。
同時に沢山のことが起こって、龍馬の人生も一直線ではないことがはっきり分かります。特に西郷さんが黒幕的で、たとえば薩長同盟が明確でも、幕府に攻められた長州へすぐに援軍を出そうとはしません。龍馬がいらだつと、「薩摩は江戸城を総攻撃するために軍を出す」と、言います。このことと長州への援軍との話がよく分からないわけですが、つまりは、薩摩も長州も幕府と話し合う余地はゼロになったと言うことでしょうか。
それにしても、長州はわずかな兵だけで、雲霞のように攻め来る幕府に立ち向かわねばなりません。結果は来週のようですが、今夜のところは長州が苦戦し、薩摩との同盟の御利益も見えません。特に薩摩の小松さんや西郷さんが速攻で長州を支援しない雰囲気にいらいらします。まだまだ徳川には旗本八万騎の威勢があったのでしょうか~そういえば今から70年近くも昔に、日本には関東軍百万という威勢の良さがありましたが意外な内実だったようです。
ともあれ、このことはくどいようですが、来週に任せましょう。
私が今夜のドラマで気に入ったのは二点あって、それはたいしたことでは無いともいえますが、印象が深かったです。
一つは、タイトルの前に、龍馬が桜島を正面にすえた海岸に立つ姿でした。いや、すがたというよりもそのときの音楽が気にいったのです。まるで桜島や薩摩が未知の、恐竜がすんでいるような異世界を思わせる音楽でした(笑)。そしてまた、「どうして、こんな日本の果てに島津藩がいたのだろう?」という疑問でした。いや、九州を始発駅にすると、東京などは本当に日本の端に思えるかもしれませんがね。
もう一つは、高千穂登山とその山の姿と遠く霞む下界と、雲というか霧の情景でした。何十年も登山をしていないので高山の雰囲気を忘れていたのですが、本当に霧島、その温泉、そして高千穂、九州の山は懐が深いですね。桜島とは違った意味で、異世界に思えました。映像ひとつとってみても、今度の龍馬伝は、大サービスをしてくれているな、とふと思った次第です。
追記:ひがごと
ところで私は相当に愛国者ですが、あれだけつばをまきちらして「日本、日本のために」と龍馬がシャウトすると、少しく気が滅入ってきました。まあ、ドラマですからしかたないですけどね。
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コメント
おもしろき こともなき世を
高杉晋作が数千の兵力でどうして十万もの幕府軍をやっつけたか。
司馬さんの本だったかNHKテレビだったかで解説してくれていました。
幕府軍はいろんな藩から集めてきた烏合の衆です。
幕府の命令でいやいや出向いてきている。
戦闘意欲なんてのがあろうはずがない。
負けたって元の藩に戻ればよいだけの話。
ですから勝負は闘いが始まる前から決まっていたのですね。
何しろ高杉晋作の軍隊はまさに死ぬか生きるかの覚悟ですからねえ。
地元で負けたら帰るとこはございません。
おもしろき こともなき世を おもしろく
当方がもっとも好きな一句であります。
及ばずながら、この精神で仕事をやってきた積りです。
ことに望んでずいぶん助けられました。
投稿: ふうてん | 2010年9月20日 (月) 11時50分
ふうてんさん
~なんだ、そういうことでしたか(笑)
となると、来週はそういう烏合の衆(幕府軍)と、血だるま集団(長州)の争いを見ることになりますか。
戦争も、仕事も、人生も、一定のハングリー精神、切羽詰まった所、背水の陣でないと、実力を発揮できないようです。そしてまた、おもしろくないとおもうと、総てが圧倒的にむなしく退屈になって、指一本動かすのも億劫になりまする。
そうでしたか。
ふうてんさんは、おもしろく生きん、となさってきたわけですね。Muは再度、それを見習います。
おもしろい企てやうまいものを食べようとする気持ちを捨てると、つまらなくなりまする。
ああ、それにしても、松茸の土瓶蒸し。
うむうむ、高いね。
投稿: Mu→ふうてん | 2010年9月20日 (月) 17時05分