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2010年8月12日 (木)

小説木幡記:2010/08/12(木)眠りを誘う終日雨

 今年はお盆休みという習慣に合わせて身体と心を休める工夫をした。つまりは、木幡で骨休みということになる。小説類を読みあかし、眠くなると横臥していた。あっというまに夕方になってしまった。ずっと、しとしとぴっちゃんと雨やった。

ポンポン山の稲妻
 昨夜か今朝か、時間は思い出せないが西の空に壮大な稲妻が走って、しばらくすると天地が割れるようなズシーンという雷鳴がした。それが何度か続いた。「あれだけの稲妻が光り、落雷のあったところは大変だな」と思って、今地図を見ると、丁度長岡天神とか、大阪府島本町、大阪府高槻市の近くで、ポンポン山とか釈迦岳という山がある付近だった。京都市西京区という地名や亀岡市までが入り組んでいて、複雑な所に思えた。

ミステリ業界の問題老
 画狂人ラプソディ/森雅裕(カドカワノベルズ)というのを読み終えた。いちいちひっかかり、小骨の多いミステリだったが、結局読み終えて「そうなのか」とため息をついた。だから、未完成未推敲の力作だと思った。ところで、犯人Xは、といま思い出そうとしたが、誰だったかは忘れた。どうでもよい話なんだろう(笑)。

 それで、 森雅裕のことが気になってネットでみたら、意外な御仁のようだ。つまり、現在どうしていなさるかわかりにくい方のようだ。一昔前の業界では「問題児」扱いされたらしい。年齢を考えるともう「児」ではないが。そうそう、気になる人はキーワード「推理小説常習犯」で探してみればよい。これからはiTunesとかiPadの世界だから、江戸川乱歩賞をとった実力者だと、業界とつきあわなくても、なんかかんか収入が増えるかもしれない。

 ところで、何故「森雅裕」をネットで探そうと思ったかというと、北斎とか写楽のことが書いてあったからだ。昨日書店を通り過ぎたら、島田荘司さんが『写楽:閉じた国の幻』(新潮社)というのを出していた。2625円もする高額図書だったので、持ち合わせもなく買わなかった。(立ち読みはしたことがない習慣:事前の情報漏洩は買った時にもったいない)というわけで、森雅裕さんはもっとなにか、写楽とか書いていないかな? と思って検索したわけだ。そういう作品があるのかどうかも分からないままに、「推理小説常習犯」情報に出くわして、腰をぬかしたわけだ(笑)。

18禁・教師禁小説
 悪の教典/貴志祐介(文藝春秋の上下)を一気に読み切った。貴志さんは昔から少しずつ読んでいて、先回の「新世界より」は今思い出しても涙ぐむ程の秀麗作だったので、その続編? と思った買ったようだ(笑)。
 で、続編ではなかった。
 この作品は一部善良な少年少女や、崇高な教員職者(主に、初等中等教育)が読むと虎馬を残しそうな、残虐無残・公序良俗を逸脱しておるので、万人には勧めない。
 しかしナンセンスではない。
 犯人Xの内的独白として「せめて、この事件が銃規制を巡る論議に一石を投じてくれたらと、願うばかりだった。」(下巻のp193) という表現があった。貴志さんの余裕の筆致と思ったね。この一行には、ものすごい皮肉が込められておる。いや、文章の内容じゃなくて、スタイルだ。「願うばかりだった。」こういう言い方はマスメディア特有のもので、世の中を小馬鹿にした言い方だな。それを犯人Xに語らせるおかしみは、うーむ、貴志さんの図書はおもしろい! となる。

 ところで、なぜMuBlog好評の「読書感想文」として記事にしなかったかというと、単純だ。現在は休暇中だし、休暇が終わっても夏期論文で忙しい。このごろは自分の体力や精神力に見合った生き方を始めたので、貴志さんの作品をこれ以上に売れるように仕向ける必要はないと、思ったからだ~。

 ~いやぁ、少年少女がこの本を手にしないことを痛切に願う。もちろん、そういう意味では村上さんの「1Q84」も著しく公序良俗から逸脱した小説なので、同じ事かな。要するに、小説とは、そういう性格のものなんだろう

うむ
 疲れるからさらりとMuBlogを書きこなそうと思ったが、うむうむ、結局いろいろながながと書いてしまった。
 さて、京極堂でも読んで口直ししようかい。(西巷説百物語/京極夏彦、……。)
 森雅裕さんがおやつで、貴志祐介さんがステーキ・ディナーなら、京極堂さんはほっと一息の、お茶漬けの味やな。いずれもミステリ風ばかりやから、こんなんばかりだと、脳が犯罪者風に染まっていく脳。

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