NHK龍馬伝(29)新天地、長崎:よいなぁ
龍馬伝が第三部に入りました。今夜はたいそう感動したことをまずしるしておきます。
1.岩崎弥太郎の回想
明治15年頃の東京でしょうか、新聞記者を前にして、弥太郎は鍼灸院でこっそりお灸の治療をしています。弥太郎は明治18年死亡ですから、おそらくなにか不治の病がそろそろ現れてきたのでしょう。
その鍼灸院で治療している人が、なんと千葉佐那さんでした。
私は、映画「アラビアのロレンス」の頃以来、典型的だったのですが、この回想シーンに実に弱くて、まして消えたと思っていた千葉佐那さんが、明治15年にもなって、弥太郎の治療をしている場面に遭遇し、それだけで滂沱、涙ぐんでしまったのです(笑)。
2.長崎の迫力
長崎の異国情緒の描き方に、たしかに迫力がありました。そして、丸山の引田屋で蒼井優がほの暗い座敷で舞っている姿もよかったです。照明に工夫がありました。なんとなく本当に当時のぼんぼりならこれくらいの光量で、金屏風に反射して、ゆらゆら見えるだろうなという雰囲気がリアルに描かれていたのです。
3.龍馬の迫力
丸山で、長州の高杉晋作と井上や伊藤、そして薩摩の西郷らとが相互に刀をぬいて乱闘に入りかけたとき、龍馬の台詞には迫力がありました。
こんな座敷で刀を抜きあって、「鶏小屋でけんかしている間に、恐い異国に食われてしまう!」という意味の台詞でしたが、龍馬の激しさ(本当に現実を見据えた上での、胆力)が直に伝わってきました。
そしてまたシークエンス(時間の前後)として、武器商人グラバーが商売敵の英国商人オルトに、「もう、日本は滅びる」と恐い話をしていた場面が、龍馬の迫真さに寄与していたのでしょう。
グラバーによると、幕府がフランスと結託したので、本国のイギリス政府は怒って牙をむきだし、神戸に兵と騎兵を上陸させ大阪を落とし、京都に入って天皇を拘束し、そのまま江戸を艦砲射撃すれば、日本は一日で落ちる、という実に背筋の氷るような恐い話でした、……。
4.歴史余話
幕末に、徳川はフランスと結び、薩摩と長州とは秘密同盟をしついでにイギリスと結びました。
有史以来、今までも、今も、これからも、権力を維持するために他国と結び付くのは本当に危険なことです。
明治という時代は、実に綱渡りだったわけです。
その幕末に、そういう危険性を熟知していたのが、坂本龍馬だったという情景は、今夜のドラマで鮮明にえがかれました。
*・ということで
第三部、なかなかに、すばらしく見応えのあるスタートでした。来週が楽しみです。
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