« 小説木幡記:2010/07/11(日)猫ハルキのおっちゃん座り | トップページ | 小説木幡記:2010/07/16(金)ハンダゴテや話合いや »

2010年7月11日 (日)

NHK龍馬伝(28)武市の夢:容堂の小刀

承前:NHK龍馬伝(27)龍馬の大芝居:冴え渡る北辰一刀流

 武市の牢を訪れた山内容堂は、これで「腹を切りや」といって自らの腰の小刀を武市にさし渡します。
 事実としてはあり得ない話ですが、しかし時が戦国時代で争乱のまっただ中ならば、あり得る話です。「お前はわしの家臣じゃ。じゃから、他と同じような死を賜うことはできん。」という自然な理屈の現れと思えば違和感はまったくないです。

 この半世紀ずっと「死」については考えてきました。夜眠りについて、朝に起きてこないのが「死」の実相なのでしょう。そして、死は死であり絶対です。どんな修飾も意味づけも思想も、無意味だし、死は当人しか経験できません。だからこそ、切腹とか斬殺とか賜死とか、残った人が意味づけをして、生きている人が納得してきたわけです。葬式に典型的に現れます。葬式は死んだ人には無意味ですが、生きている人、残った人に重い意味があるのでしょう。
 もちろん、そういう意味を持たずに生きている人もいます、……。

 とこう考えるうちに、岡田以蔵は処刑され、武市半平太は名誉の切腹を賜ります。土佐にとっての、土佐勤王党の対外的影響と、内部的には吉田東洋暗殺の、その二つに関する「幕引き」だったのだと、150年近く後世の私は2人の死に納得したわけです。

 ところで。
 近藤正臣(山内容堂)さんは、NHK太平記での北畠親房役を大いに気に入っていると吹聴してきましたが(笑)、実は畏友のふうてんさんが京都三条木屋町北でおきにいりの「めなみ」は、近藤さんの甥御さんが経営されているとのこと。京都に縁の深い俳優さんのようです。

追伸
 これで第二部が終了し、いよいよ龍馬の後半生が来週から始まります。たのしみです。

|

« 小説木幡記:2010/07/11(日)猫ハルキのおっちゃん座り | トップページ | 小説木幡記:2010/07/16(金)ハンダゴテや話合いや »

NHK龍馬伝」カテゴリの記事

コメント

先生こんばんは^^
ハルキ君はますます男前ですね^^ こんな賢そうな猫ちゃんをはじめて見ます~
半平太の切腹シーン、しばらく引きずりました。お富のような気持でいます。(なんて。)
先生が岡田以蔵はテロリストと書かれていたので、そうだと思い冷静に見ました。最初は司馬さんの本を読んで、生立ちなどがかわいそう・・と思ってしまっていたのです。
第三部では、お元がとても可愛らしいです。
龍馬の懸命さが好きです。また来週も楽しみにしたいと思いました^^

投稿: yuyu | 2010年7月22日 (木) 00時09分

 YuYuさん
 土佐の武市半平太に光があたり、龍馬の活躍が薄れていた印象でしたが、第三部にはいり長崎へたちまわり、俄然、迫力がましてきました。

 もちろん、武市も富も以蔵も、優れたやくどころ、上手な感情移入でしたが、主演の龍馬が薄まると、なにかしら別の話を見ているようで、しんどかったのです。

 お元さんは、なんとなく動静がわかりにくいですね。長崎奉行のスパイかもしれないし。龍馬とのからみがたのしみです。蒼井優さんを崇拝している中年のおじさんをよく知っていますが、優さんに魅力はありますが、……。まだまだ人の気持ちはよくわかりません(笑)

投稿: Mu→YuYu | 2010年7月22日 (木) 08時26分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: NHK龍馬伝(28)武市の夢:容堂の小刀:

» NHK龍馬伝(29)新天地、長崎:よいなぁ [MuBlog]
承前:NHK龍馬伝(28)武市の夢:容堂の小刀  龍馬伝が第三部に入りました。今夜はたいそう感動したことをまずしるしておきます。 1.岩崎弥太郎の回想  明治15年頃の東京でしょうか、新聞記者を前にして、弥太郎は鍼灸院でこっそりお灸の治療をしています。弥太郎は明治18年死亡ですから、おそらくなにか不治の病がそろそろ現れてきたのでしょう。  その鍼灸院で治療している人が、なんと千葉佐那さんでした。 ... [続きを読む]

受信: 2010年7月18日 (日) 19時24分

« 小説木幡記:2010/07/11(日)猫ハルキのおっちゃん座り | トップページ | 小説木幡記:2010/07/16(金)ハンダゴテや話合いや »