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2010年6月 6日 (日)

NHK龍馬伝(23)池田屋に走れ:熱い青年達

承前:NHK龍馬伝(22)龍という女:確かに気の強い女

山内容堂の極楽
 土佐の容堂公が拷問を止めるように、後藤象二郎に言いました。武市半平太や、最近帰郷した岡田以蔵にすこし凪が訪れた、……。と思うのは早計と、歴史の記録から知ってはいますが、このひとときは画面に休憩をもたらして気が楽になりました。
 容堂公は、一橋慶喜(徳川・最後の将軍になる前でしょうね)から贈られた極楽図を眺めて、にんまりしていました。「極楽は、ええのう~」と。
 権威権力を持った人だと、この世を地獄にも極楽にも似せて変えることができますが、心の地獄を極楽にするのは難しいでしょうね。

弥太郎の変化
 対照的に、岩崎弥太郎の可愛らしい長女誕生の画面に移りました。弥太郎は、多少偽悪ぶって武市の家に行き、<幸が一杯になると不幸になるから、武市の家でも無料修繕して、幸のお裾分けをする>という風なことを言っていました。

池田屋騒動
 長州の桂小五郎などが、朝廷での立場を取り戻すために、京の町と御所に火をかけてその間隙に天皇を「お救い」(拉致)し、勢力挽回を図るという計画を、三条小橋の池田屋で謀議しています。そこに、土佐の脱藩者で海軍繰連場の仲間:望月亀弥太が、神戸村を深夜抜け出して参加します。あとを龍馬が追いました。
 この事件では、新選組が日本中に知れ渡り、桂小五郎はタイミングの都合で新選組に斬られもしなかったし、逃げおおせました。

熱い青年達と変革
 龍馬が神戸の浜辺で土佐脱藩者・元土佐勤王党の望月亀弥太(音尾琢真)を説得する前後が今夜の見どころなのでしょう。亀弥太も龍馬も、幼なじみの武市半平太や岡田以蔵が土佐で殺されるかもしれないのを横目でみながら、200名の仲間と海軍を作っています。そのことと、今また京都で長州藩を中心とした尊皇攘夷の志士達が熱く計画を練っているわけです。
 龍馬は<想像以上に時代が流れ進んでいる。これまでの尊皇攘夷では、日本を救えない。繰連所をすてて地下テロ組織に参加するのは無謀だ、亀弥太行くのは止めろ!>といいます。
 しかし、亀弥太は、平井収二郎が切腹させられ、かつての仲間や武市先生が危機に立たされている今、生徒として練習しているのが無駄に思え、心が京都に走り池田屋に駆けつけるわけです。

 いつの時代にも、青年の数パーセントは熱くなります。変革の核になる可能性を持つわけです。それまでのくびきを棄てて、暴力であれ政治であれ、熱くなって現状を打破しようとします、……。

特殊な明治維新
 土佐勤王党は下士という底辺武士階級の青年達でした。
 新選組は、20代の関東食いはぐれ青年達でした。
 そして海軍繰連所、海舟以外は各藩で優秀な、あるいは脱藩の、邪魔者扱いされた青年達でした。
 そして七卿落ちの三条実美さんは、都を追われたときまだ20代半ばだったわけです。
 幕末は、明治維新は、20代の熱い青年達が動かしたようにさえ思えます。

 その、同年代の龍馬が熱く望月亀弥太を説得しました。
 亀弥太はそれを振り切って京都に走り、池田屋の近くで切腹し昏睡しているところを龍馬に発見されます。龍馬はその死を見、怒りのあまり壬生の新選組屯所へ走っていきました。その相手の近藤や土方さえまだ20代後半、沖田はもしかしたら20になっていたかどうか。

 20代は永遠の熱い青春なのでしょう。
 龍馬もそうだったわけです。
 それが時代を動かすのは、歴史の中でもそれほどあるわけではないです。幕末が、そんなまれな時代だったことを、龍馬の熱弁に感じました。

参考
 池田屋集合:倶楽部忘年会2009(MuBlog) 池田屋跡は現在居酒屋になっています。場所は、京都市の三条大橋西(三条小橋西)です。

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受信: 2010年6月13日 (日) 19時29分

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