小説木幡記:2010/05/07(金)黄金週間の成果
例年になく変則的な5月の長期連休だったが、無事終えたので、まとめておく。
例年はこの期間、日々葛野にでかけ、無人のキャンパス・研究室でたまりにたまった責務遂行や研究にいそしむ、最高のかき入れ時なのだが、今年は不用意に無人だと、体調が急変したときなど対処に困るから「休暇中の登校を止めて欲しい」と事務幹部にいわれたので、あきらめて変更した。
心身とも、禁煙鬱にともなう軽い落ち込み凹み感(どうせ、どうせ、何をやっても、余の人生なんて、なんの栄光も、世間への功徳も、自分の儲けも利得もありはしない~、とふさぎ込む様子)以外は、いたって快調で、食欲睡眠好奇心などなど快調なのだが、「病弱のイメージ」は当分消えそうにもないので、そういう雰囲気に合わせておくことにした。だから黄金週間中、ずっと葛野には行かなかった(笑)。
1.成果1:後鳥羽院「物語と歌」
後鳥羽院/保田與重郎.全てではないが、何度目かの再読なった。
ただし、「後水尾院の御集」の手前「桃山時代の詩人たち」で止まった。これだけ時間がかかったのは「物語と歌」を何度も行きつ戻りつ読み直していたからである。大昔、作家の故・中上健次がこの「物語と歌」を褒めちぎっていたのを、なにかの文芸誌で目にとめていた。実は20代のころの初読ではこの『後鳥羽院』の全体像がよくつかめていなかった。だから、30代ころに、同世代の中上健次が意外な評価をしているのがずっと気になってきた。
この黄金週間の成果は、中上がどう思ったかは不明のままだが(余は中上の良き読者ではない)、「物語と歌」の迫力とか深さについては、改めて胸を突かれた。何度も記すが、保田という人はすさまじい力を持った文芸評論家だったのだ。このことは、今後とも、余はどれだけの筆を費やしてでも顕彰すべきことだと確認した。余がそんなことをする必要が世間には不要であっても、余が生まれ生きた証として「歴史や日本や、文芸に対する、こういう考え方があるのだ」という確認をしたいわけだ。
2.成果2:DCCの実験
基礎的なDCC(鉄道模型のPC制御)について経験をつめた。半径30センチ程度の円周上を電車が走るだけの姿だが、PCからコントロールするという、余にとってはものすごく意味のある実験を、できた。もちろん、ライトの点滅程度は、マウス一押しだ。
3.成果3:禁煙の一ヶ月
禁煙の続行と、万歩メーターの常用。
禁煙は、生理学的な意味でのニコチン依存は抜けた。ただし心理的に、余の人生を覆った喫煙文化や歴史、そういう記憶が時にして、まだまだ余を苦しめる。ネットには非常に優れた記事があり、それを読むと、今の禁煙鬱は言ってみれば、悪漢ニコチンスキー最後の罠、悪巧み、~といえようか。
<インターネット禁煙マラソン>
ともかく「依存症」からの離脱は、人生の一時的な総力戦と覚悟している。今の感触で必要なことは、約3ヶ月、日常のすべてが機能麻痺してでも、禁煙を続行するという、心構えだね。最後の最後は「気持ち・意志力」だ。
歩行数は、万歩にはいかず、大体5000~8000歩だった。座仕事中心の人生だから、万歩を越えるには、日々ピクニックに行くくらいの気持ちをもつ必要がある。これは、もうしばらく様子を見る。
4.成果4:上島珈琲店 京都寺町店
このお店は、2009年1月に映画レッドクリフを見に行ったときに発見したが、当時は喫煙室へ向かったので、全体の気持ち良い雰囲気を味わいきれなかった。今回は、1Fの随分奥にある坪庭横の部屋に入ったが、とても快適だった。
UCCでもなく、上島コーヒーでもなく、正確に「上島珈琲店」というのがブランド名と知った。京都の町中、それもちょっと中心から外れた寺町御池にこういう気持ちのよい珈琲店があるのが、再発見だった。
(第9地区を観た日、エドルン君と)
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