小説木幡記:2010/04/20(火)禁煙と1Q84
1Q84:Book3/村上春樹、これを一昨日日曜の夕方に完読した。
感想文をすぐに書き出して、数行書いたところで夕食になり、夕食後に「龍馬伝」があり、寝ぼけ眼で龍馬伝感想を投稿したとたんに眠ってしまい、昨日月曜になってしまった。昨日は夕刻に禁煙本を読み、午後9時前にねむってしまい、今朝になった。
1Q84の読書感想文は、MuBlog記事の第2001番目になるので、由緒ある記事となったが、こうして以上の事情でなかなか公開に至らない。今朝公開しようと思ったが、昨夕に読んだ「リセット禁煙のすすめ/磯村毅」がわずかに500円の小冊子だというのに、まるで革命の図書なので、どちらを先に出すか迷ったが、禁煙本を先に書いておく。
1Q84:Book3は、手早く書いてネタバレに引っかかって読者の避難をあびる危険性もあるので、もう少し調整してから書こう。
昨日葛野で、倶楽部員たちと話していたさなか、「ところで、天吾の親父さんは、例の千葉県千倉の保養所というか、療養所で亡くなった」と言ったとたんに鋭い視線を浴びた。「なぜ、そんなネタバレをするのですか!」という憎悪の目だった、……。
余の今回のBook3感想文は、この親父さんが64歳という年齢で、まるで老衰死になるところが一つの感動場面なので書かざるを得ぬ。それが「ネタバレ」となるなら、書けなくなるので、1Q84はしばし読者が落ち着いた頃を見計らって書くことにしよう。大体好きな読者はここ数日内に読んでしまうだろうから、今夕か数日内に感想文を書くことにした。
で、禁煙本。
すばらしい禁煙本として磯村毅「リセット禁煙のすすめ」(東京六法出版)をあげておく。ある意味で「恐い図書」「恐い詐欺プロ本」ともいえる。ニコチン帝国からするならば、これは帝国を瓦解させる禁断の図書といえる。この世の「依存性」で生計を立てる産業やプロの目から見ると、この図書は禁書・焚書坑儒せざるをえぬ図書と言える。
逆に、この本で禁煙した者は、この本や作者に深く帰依する可能性があるから、別の危険性を内包していると言ってもよい。いろいろな意味で危険な図書である。禁煙をあっけなくできるようにする図書は、別の危険性も持つ。
それがどんな危険性なのかは、よくわからぬ。要するに危険な図書である。
同著で「二重洗脳:依存症の謎を解く(東洋経済新報社)」があり、{タバコ、酒、食べ物、薬物、カルト宗教、ゲーム、ギャンブル、不倫、仕事中毒、自分探し……}{脳がハマる共通構造を発見!}とあるから、こういうことで生計を立てる産業関係者は同著者によって打撃を受けるだろう。
で、このリセット禁煙は全体が92ページで、本文は70ページ強の小冊子である。熱心にまじめに40分ほどかけて昨夕読んだ。
タバコ・ニコチンにはなんの有効な意味実態を持たず、ただただ致死的な麻薬に過ぎないと分かる。タバコが有効なのはニコチン中毒を緩和させるだけの意味しかない。ストレスを解消するのも大嘘・詐欺、ほっとするのも詐欺、不安が亡くなるのも詐欺の中の高級詐欺、……。
ニコチンが心身を不安定にし、人はそれを生きるストレスと欺され感じ、それをなくすのはニコチンだけという循環に追い込まれる。実は、ニコチンが無かったなら存在しえないストレスを、ニコチンで作り出し、ニコチンで癒すふりをする。
すさまじい詐欺といえる。
その仕組みの巧妙なこと。
タバコを吸う→脳波が瞬時に活発になる(ストレス解消と思ってしまう)→30分後にニコチンは脳派を不活性化し始める→ストレスを味わう→タバコを吸う→
タバコを吸うから脳波がじわじわと不活性になるという、ものすごいペテンがある。まず一時的に数秒で脳を活性化して、その後じっくり不活性に持ち込むという、絶妙のペテン!
タバコは、マッチポンプ。自分で放火して、自分で火消しをするようなもの。それを起きている間中、間断なく、命がつきるまで、何十年間でも飽きず繰り返す、すさまじい悪サイクル。
このリセット禁煙本は、我慢して禁煙させる方法をとらない。強いていえば最初の3日間は、ニコチンが体内にあるから我慢らしきことが必要かもしれない。残余は、脳の幻覚・イリュージョンの正体を知ることで、馬鹿馬鹿しくてタバコなんか忘れてしまう、まるで「手品」。
恋人がゾンビーだったことに気づく日、牡丹灯籠が死人とのデートだと気付いた日、血臭する屍の上で何も知らずに一服すって癒されていた日々、……。たばこを我慢するのは無理なのだ、ニコチンはその上を行く詐欺師だから。
詐欺の実態を知ってこそ、初めてばかばかしさに気づき、たばこを棄てる。
たばこは習慣ではない。
明白な、高度巧妙な「依存症誘発麻薬」、すなわち薬物・詐欺である。
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コメント
笑い転げながら読みました。
リセット禁煙、確かに、危険な本ですね!
そして、二重洗脳も。
「ニコチン帝国からするならば、これは帝国を瓦解させる禁断の図書といえる。この世の「依存性」で生計を立てる産業やプロの目から見ると、この図書は禁書・焚書坑儒せざるをえぬ図書と言える。」
リセット禁煙は、じわじわじわじわ売れ続け、
医療関係者の間でも、確実にしじがひろがってきているようで、このままいくと?あるいは禁書に?
逆に、この本で禁煙した者は、この本や作者に深く帰依する可能性があるから、
それもそうかも。
まあいいけど。
同著で「二重洗脳:依存症の謎を解く(東洋経済新報社)」があり、{タバコ、酒、食べ物、薬物、カルト宗教、ゲーム、ギャンブル、不倫、仕事中毒、自分探し……}{脳がハマる共通構造を発見!}とあるから、こういうことで生計を立てる産業関係者は同著者によって打撃を受けるだろう。
打撃を受けてくれよ、と思いますよ、私は。
人の不幸で儲けすぎでショ
それにしても、面白い書評をありがとう。
ちなみに、私は、韓国語版の『二重洗脳』で、
エロ本地獄から抜け出しました。
日本の皆さん、感謝です・・・。
投稿: SCD | 2010年4月27日 (火) 23時28分
隣国の人よ!
世界は広いね。ときどき遠くの人が読んでいる事に気がついて、うれしいやら、気恥ずかしいやら、……。
依存性問題ですが。
人間はほぼ毎日、3食とらないと生きていけません。これは食物への強度の依存ですが、依存性とは言えませんね。毎秒、空気を吸わないと死にますが、これも依存性とは言えません。
依存性とは、本来なくてもよい、無くても死なない、無駄無駄しいことに依存した状態を言うのでしょうね。
私の良性の依存性とは、「読書」「PC」「鉄道模型」「自動車運転」なんかですね。
悪性の「ニコチン」は、丁度一ヶ月禁断して、医師からは「禁煙成功です。もし、また吸ったら、それは禁煙失敗ではなくて、新たに吸い出したにすぎません」と、言われました。
隣国の人だと、どんな悪性や良性の依存症があるのか、ちょっと日本とは違っているかもしれませんね。
投稿: Mu→SCD | 2010年4月28日 (水) 04時40分