邪馬台国周遊図書館ジオラマ(6)上塗りと運河
6.1 上塗りや工程管理
↑運河に水もどきを流し込んだ直後:「水もどき」は乾燥一日目なので、まだ不透明。
情景モデルとしてのジオラマ(レイアウト)製作には工程管理が必要になる。難しい話ではなくて、家を建てるのに似て、前後関係が難しく、後戻りをし難く、また時間を要する作業もあって、一応の順番を守って製作していかねばならない。
たとえば、棟上げもしない前に壁の上塗りや壁紙を貼ることはできない。2階までたてて、あとで大きな地下室を1階の下に作るのはできない。当シリーズでは、レールの敷設で他の製作事例とは逆にしているが、一般には多くの工程に前後関係がある。一言で言うと、上塗りの後で下塗りはできないし、おかしい。
この段階に来ると、地形やレール基盤を大きく変更することは不可能で、もしそれをするならそれまでの成形物を破壊して作り直すことになる。逆に、これまでの工作結果を内心で認めて、残りの作業を淡々と仕上げるという納得心が必要となる。たとえば、塗装などは下塗りでほぼ決定してしまっている。タイトルには「上塗り」と記したが、このジオラマでは、点描に過ぎない。ここでは噴霧するのをやめて、筆で数色のアクリル水性塗料を、薄く、濃く、わずかに色づけした。その詳細は、写真6-1にまとめた。
モデル制作における塗装はもっとも難しい工程と言ってよい。ただし、目的によって異なる。この事例では、精密モデルでもないし、現実感あふれるモデルでもない。それらしく色がある状態でよいわけだ。このモデルの目的は、図書館列車が順調に、深山幽谷に擬した起伏のある地形を、図書館駅から図書館駅に走りぬけることにある。強いて言えば、発泡スチロールという不備の多い原材料を隠し保護するために塗装しているとも言える。
写真6-1:上塗り点描
6.2 運河作りと水もどき
邪馬台国の原イメージに、水が関係することは最近の情報として信憑性が高くなった。よって、最初の頃には想定していなかった川ないし運河、あるいは古墳周濠の要素を取り入れることにした。
モデル製作での水表現は、塗装と同じく難しい工程である。これまでに、二つの方法を試してみた。
一つは「嵯峨野鉄道図書館ジオラマ」で、「保津川もどき」と「空也滝もどき」を、透明セメダイン(ないし透明ボンド)で作った事例である。一般の木工ボンドでも可能だが、やや透明性に欠ける嫌いもあり、セメダインは重宝した。しかし、60センチX5センチ程度の河川を作るのに、約千円のセメダインを一本使い、大きなモデルでは経費的に問題となる。
他の一つは、「高台の図書館」で古墳周濠をイメージして、顆粒状の樹脂(KATOのEZウオータ)を熱して溶かし流し込んだ。これは温度調整を誤り、やたらに気泡ができて、上出来とはならなかった。勿論、この手法も経費的にセメダイン利用と変わりなく、安価ではない。
今回は基盤が90X120cmで、これまでの事例に較べてやや大きいジオラマなので、経費の面から別の方法を取った。選んだ水の素材は、アクリル水性塗料のクリア(光沢あり)とした。700ccで1000円程度で、これをまず一缶使い約3mmほどの水深を得た。後日、もう一缶を追加予定である。
工法は平均的な方法で、緑、青、白の水性アクリル塗料を使い、筆で適当に川底を塗った。川底の中央あたりは、青や緑で濃いめにして、岸のあたりには水で薄めた白を含ませた。すぐに乾燥したが、時間の関係で一晩おいて、翌朝透明アクリル塗料を原液のまま流し込んだ。この乾燥には二日間かかった。工法として、時間のかかるものは塗装関係だが、今回の水性アクリル・クリア塗料では完全に乾燥し透明度を持つのに二日間かかったことをメモしておく。天候は晴だった。
後日の追加クリア塗料については、極少量の青を混ぜて使う予定だ。透明度がどこまで失われるかは、実験して分かることだ。現状の一缶では、水深が足りないくらいで、先に述べた二つの工法と比較しても、作りやすく安価で、運河のそれらしさは再現できた。作業の難易度としては、容易である。もっとも長時間を要するが、単純に流し込むだけなので初心者には適した方法である。この作業の詳細は、写真6-2にまとめた。
写真6-2:水もどき(アクリル水性塗料・光沢クリア)
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