小説木幡記:2009/10/14(水)好き嫌いや、やり残し
今朝のお題はタイトル通り二つあるが、二つが見事に融合するような上等な日記じゃない。大体、人生とか毎日は、絵に描いたように合理的にも、魅力的にも、まして芸術的にも英雄的にも進む分けがなくて、なにやらしらぬまに、ぼんやりしたまま、乱雑に散らかしながら日々が過ぎていく。しかしそういう断片的な、ぶちぎれの毎日を事故無く、破綻なく過ごせるのも、有難いと思う今日この頃である。
とにもかくにも、余もそろそろだいぶ枯れてきたのじゃ廊下、脳。
1.好き嫌い
倶楽部の隊員達と話す機会があった。
もっとも余の職場で話す相手は学生が80%、秘書さんが10%、職員さんが5%、同僚達が5%で、まるっきり若者達としか話していないことになる。だんだん染まって若返るかと言えば、そうではなくて、ますます断絶をはげしく味わうようになり、かつまた溝の深さをおもしろく思っておる。まるで、宇宙人との日々外交交渉だね。
好きな食べ物を逆に聞かれたのか、自問したのか。
口からでたのは意外にも「ステーキが大好きだ」だった。実際にビーフステーキを口にするのは、年に数回でしかないが、美味しいと思っておる。次にじゃなくて、並行して、鯛やヒラメや生蛸のお造りを、辛口の白ワインと一緒にいただくのは、至福だね。これは比較的頻繁に食卓にあがる。(ブリも好きだが、少し脂身がこたえてくる年令のようじゃ)
もっとも昨夜は鉄火ドンブリと昔言っていたが、要するに半トロをご飯にのせて海苔がかかったの。これも好きだね。あるいは鳥の手羽先、塩焼き、つまり「鳥せい」メニューで申すなら「山賊焼き」が好みだ、……。ああ、なんでもかんでも水炊きとおろしポン酢。好きだねぇ。
野菜でいうと、自家漬け物や、大根おろしや、白菜の煮物かね。豆腐も。しかし、豆腐を野菜というのは世界中に余一人だと、今気がついた。
倶楽部隊員の事例だと、昨日覚えているのは、{寿司(多分江戸前握り)、焼肉、ラーメン}とか{とろろ山かけそば、牛丼、……}とか{海鮮、錦糸鰻重}とか、非{甘い物}とか、最後は難しいのう。食事以外で気になるもの、つまり自分の選ぶベスト3で、動物{なまこ、ヒル、……}というのには驚いた。そうそう、なまこは余の大好物だった。
で気付いた。余がはるばる葛野にでかけて、授業の準備、来夏研究準備、鉄道図書館列車ジオラマの紙粘土ごね、校務遂行、会議出席など以外に、毎日毎日していることと言えば、学生達と上記のような話を、あーたらこーたら話しておるということじゃわい。ふむ、長生きする脳。
2.やり残し
なにかやり残したまま日々が過ぎていくことに気付いたのだが、何をやり残しているのかが今一つよく思い出せない。おそらく、心に重い蓋をかぶせておるのやろう。
☆天体望遠鏡を入手して毎夜、月のクレーターや、土星の輪をみることか?
☆恐竜化石発見の旅にでることか?
☆海洋生物研究所に社会人大学院入学して、進路変更したいのか?
などと、ベスト3をあげても全部自然科学系だなぁ。余は自分で分からなくなる、一体何をやり残しておるのじゃ。少なくとも、日々意識に登らせていることじゃない。司書ロボット、日曜作家、MacでLinux、ジオラマの人工知能化、国内旅行、……。そういうことは日々思い出しておる。
ああ、じれったい。
なにか深層でやり残しを悔やんでいるはずなのに、それを思い出せない。
やり残しを思い出してやり遂げるのが、今後の余の余生の一大問題なのじゃろう。
多分、自然科学系の何事か? と記憶の断片が小さな放電をくりかえしておる。
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