小説木幡記:2009/09/26(土)秋の夜長:ハノーバー電車
昨日夕食終えて満足し、夕刊を眺めているまに熟睡。3時間眠って、深夜に目覚めた。日付が変わって土曜日になっていた。
少し蒸し暑かったのでクーラーをいれたら、すぐにひんやりとして秋の夜長らしくなった。
↓広島電鉄・ハノーバー電車
読書するでもなくケースから広島電鉄の電車を引っ張り出してきて、島図書館に置いた。ハノーバー電車といって「広島市と姉妹都市関係を結んでいるドイツ・ハノーバー市から友好親善を目的として寄贈された1928年製の古風なトラムカー(路面電車)」(1)。先週近所で入手した。小さな市電だ、長さが6㎝と5㎜しかない。150倍すると10メートルに満たないことがわかる。店には前から置かれていたので気にはなっていたが、結局手にした。2300円。ハードカバーの図書を一冊買う気分だった。
どんな風に気に入ったのか。
ランプも点かないし室内灯をセットするようにもなっていない。店先に長く置かれていたのだから(2)、売れ筋ではないのだろう。しかし結局木幡研で走り出したのだから、なにか魅力があった。こういうレトロな姿をみていると気持が楽になる。日常世間は大抵追い立てられるような日々だから、どこかでストンと止まった姿は気持の安定にとてもよい。
ただそれだけなら、写真を撮ったりはしない。
動かしてみてわかった。とことこと静かに走る。以前別の車種でも触れたが、このハノーバー電車もツマミの1/3、目安として4v程度でじっくりゆっくり静音で走る。
じっくり眺めていると、長年好きだった秋の夜長の読書耽溺に等しく、いやそれよりもずっと、短時間で気持が深くなってくることに気がついた。
また30分ほど眺め入ってしまった。
その電車に同化してしまったようだ。爽快な気分で気持が覚めた。癒やしとは手軽に言いたくない。気持が深化し、心の底の部分で融けていく解放感。これは余の瞑想の一種なのだろう。
まだ午前2時。
これから秋の夜長の読書に入ろう。本当に久しぶりだ。そうすると、ふつふつと物語への傾斜が始まってくる。余は現実に生きるよりも、夢幻の中で息をしてきた思いがする。
日曜作家『湖底宮』、すでに500枚ほど書いてしまった。あと数百枚でかたを付けよう。
秋の夜長。
余のこれまでの、ほとんどのことは、秋季になされてきた。その秋、そろそろ10月に入る。気持が引き締まってくる。
夕べは春となに想いけん~。
引用
(1)KATO製、Nゲージ:広島電鉄200形ハノーバー電車
(2)この世界では、人気のある車種は予約制で、予約段階で売り切れという車種も結構ある。しかし図書館列車に改造したくなる車種は、あまり人気がないのが好ましい。
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