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2009年8月25日 (火)

葛野研の図書館列車世界:2009夏

 このあしかけ2年間、未来の図書館:鉄道図書館列車の概念を分かりやすく説明するために、図書館列車の改造製作や候補車両の収集、地域全体のモデルを製作してきました。どれも製作途上ですが、図書館列車コンセプトの展開や深化のために、主に葛野研究所で扱っているモデル(列車やジオラマ、レール・レイアウト)についてまとめておきます。

 ここで未収録のジオラマは、最近第一期工程を完了した「高台の図書館」(目次)、レール・レイアウト状態の「山裾の図書館」、および木幡研で制作中の「島図書館」(カテゴリ)です。

 最近の考えでは、未来の図書館モデルとして、媒介となる図書館列車(二階建てトロッコ図書館列車)と地域ジオラマの関係を次のようにまとめています。

1.二階建て図書館列車:→ 列車に乗って読書や研究ができる
  二階建て(ダブルデッカー)とするのは、
    1階を書庫、ユーティリティー、重読書席とし、
    2階を雑誌や読み物を中心とした軽読書席とする。
  静謐、無振動が必要
    よって、20m級の特急車両の改造を考える
  (屋根や窓に開放性がある時、二階建てトロッコ図書館列車と定義する)

2.トロッコ図書館列車:→ 地域生涯学習施設を面として扱い全域を結ぶ軽便鉄道
  トロッコ・タイプ車両とするのは、
    地域全体の図書館・分館・博物館などを軽快にリンクできる軽便鉄道を基本とする
    観光(周遊)列車として地域を活性化する
    (嵯峨野トロッコ、門司港トロッコ、旧・宇治おとぎ列車など)
  トロッコ系だから、騒音や振動は避けられない
    地域全体の文化施設を簡便に確実にリンクする機能に重点を置く

 以下、縮小写真をクリックすると大きくなり、解説があります。

1.屯所にて:On30やHOタイプの大型車両
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↑明治時代の京都市電

葛野図車:京都電気鉄道の明治時代風市電
葛野図車:京都市電29号(明治時代)
葛野図車: 南部縦貫鉄道 キハ10形レールバス
葛野図車:南部縦貫鉄道レールバス&明治時代の市電

 ここでの大型車両とは、これまで「地域全体の図書館構想」を表現するために製作したジオラマが小型のNゲージ(線路幅9mm、縮尺1/150)だったので、それに比較して「大型」としています。具体的には日本のHOゲージ(線路幅16.5mm、縮尺1/80)で走る車両を表し、そのうちOn30タイプは縮尺が1/48前後のものです。On30に付いては別途MuBlog記事を参照してください。

 写真の明治時代風の京都市電モデルはOn30タイプですので一般のHOゲージ車両に比較しても大型です。この車両収集の意図は、愛知県犬山市にある博物館・明治村で乗車体験した市電から、着想を得ています。すなわち、点としての生涯学習施設(地域内の図書館や博物館)を、市電や軽便列車で結ぶ(リンク)ことにより、点から面の質的変化をもたらし、地域全域的な扱いが個々の施設機能を凌駕するという可能性を考えました。

 「南部縦貫鉄道レールバス」をモデルとしたのは、未来にあっても、図書館や博物館が充実していない広域ローカルな地域で、分室・分館を軽便に機能的に結びつけるリンカーとしての役割を想定しました。

 なおこれら明治時代風市電やレールバスは、トロッコ列車として再定義します。乗車しながらの読書や研究には向きませんが、手軽に地域全体の生涯学習施設を行き来するための「結びつける図書館列車」機能を持たせた、軽便な車両を意味します。

2.屯所にて:未着手の宇治川周遊図書館ジオラマ原型

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↑宇治川周遊図書館ジオラマ(上方が宇治川上流・南東方角です)

葛野図車:宇治川周遊図書館ジオラマ(原型レイアウト)
葛野図車:大歩危トロッコ号
 京都府、京都市の南部に位置する宇治市は歴史と景観によって有数の観光地と言えます。かつて藤原氏の別荘地であり、平等院、宇治上神社など世界遺産があることで著名です。市内には源氏物語ミュージアム、図書館、資料館、生涯学習センター、植物園、広大な運動公園などがあります。

 写真のレール・レイアウトは、宇治川と宇治橋を中心にして、観光地や生涯学習施設をトロッコ列車で周遊するモデルのためにまとめたものです。実車で想定する姿はかつて宇治川沿いを走っていた「おとぎ電車」のような規模と考えています。すなわちレール幅もJRに比べて6~7割のもので、車体も自家用車程度の列車の編成で、動力はリチウムイオン電池と考えています。速度も時速5~15kmでしょう。

 このモデルでは内周を宇治川添いの風景や名所旧跡のための、純粋の(周遊)観光地巡りトロッコが走ります。外周は現在および未来に想定される生涯学習館を結びつける、住民や観光客の移動に重点をおいた「市電」的なトロッコが走ります。

 想定する料金は一日乗車券500円程度で、乗り放題です。一般に生涯学習施設は図書館で顕著ですが、地域住民のために作られています。この考えを、宇治市のような観光地ではあらためて、観光客も住民もトロッコを共通の足として、そして各施設を「今現在宇治市に訪れた人全員」が自由に享受、利用出来るような考えを導入すべきです。その為に、トロッコ電車を共通のインフラストラクチャーと見なし、受益者負担は可能な限り低減するのが、未来の、生涯学習時代の地域の姿だと考えます。特に世界遺産を持った地域はそれを還元するために、足くらいは地域として提供するのが理想です。

3.葛野研にて:未完の邪馬台国周遊図書館ジオラマとHOタイプ図書館列車
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↑EF65形電気機関車とサロ124図書館列車

葛野図車:サロ124図書館列車とEF65電機機関車
 このジオラマを設計し製作を始めてすでに一年は過ぎました。コンセプトは邪馬台国の故地、奈良県南部桜井市の旧三輪町を中心とした、歴史資料館や歴史図書館を結ぶ周遊図書館列車サービスにあります。

 当初案では全線をNゲージという小型レールでモデルを作成することにしていました。つまり邪馬台国周遊図書館ジオラマを狭い空間、閉空間として設計したのです。しかしここにある写真は一回り大きなHOゲージ(レール幅16.5mm、縮尺1/80)となっています。これはより完全な「二階建て図書館列車」のイメージを固めるためと、奈良線を利用して全国各地から、会議室や書庫コンテナを搭載した20m級の列車編成で、周遊に入るという想定を追加したためです。

 JRのサロ124(HO)を二階建て図書館列車に改造した記事は、(改造)(自動往復実験)の二つを参照して下さい。会議図書館列車については「纒向号」を参照下さい。

4.葛野研座右:未完の「昭和の鉄道模型をつくる」
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↑昭和の町を走る箱根登山鉄道

葛野図車:昭和の鉄道模型をつくる
 「二階建てトロッコ図書館列車」構想の引き金となったジオラマ(レイアウト)です。まだ完成はしていませんが、当初の感動は現代の鉄道模型世界が非常に精密な科学を基礎として、超小型の模型列車を自在に走行させる技術を持ち、またその周辺景観を形作る建物などの精密さから、未来的な「図書館空間」イメージを模型に定着できる、そのような豊かな可能性を味わったことにあります。

 このジオラマはやがて完成しますが、一つメモしておきますと、この昭和の30年代の景観の中で、現代の優れた列車、たとえば走る豪華ホテルといわれるカシオペア号を走らせることで、過去の時点から現代という未来を確認する視座を得たことが重要です。「二階建てトロッコ図書館列車(カシオペア号を改造して「あたご号」を作成しました)」という、現在は存在もしない世界を、モデルであればこそ実感的に確かめることができる事実を、ここで再確認しておきます。

5.まとめとして、嵯峨野鉄道図書館ジオラマの図書館列車達

葛野図車:嵯峨野鉄道図書館ジオラマ
葛野図車:嵯峨野鉄道図書館本館まえ
葛野図車:嵐山駅分館前の「ゆふいんの森」
葛野図車:嵯峨野を走る「お召し列車」

 「二階建てトロッコ図書館列車」を走らせるために、最初に製作したジオラマです。まだ第二期工程を終えた未完成作品ですが、構想の要素は含まれています。
 京都市右京区嵯峨野という小さな地域に、中央図書館、嵐山駅分館、愛宕山上駅分館という3つの(公共)図書館を想定し、そこに現代実車のJR嵯峨野線(山陰線の区間愛称)や嵯峨野トロッコ列車をモデルとし、風光明媚な保津峡を図書館列車が走り、引き込み線で停車し、清流の音を聞きながら、珈琲を飲んだり、読書したりするというイメージをモデル化しました。(嵯峨野鉄道図書館ジオラマ目次

 いろいろな研究や作品は、処女作を中心にして同心円状に展開していくという説があります。
 現在、上述した種々の「図書館列車構想」を考え、実験をしていますが、現状ではこの「嵯峨野鉄道図書館ジオラマ」を同心円状に拡大変形しているというのが事実です。
 当面はそれでよいと考えています。
 また、「ゆふいんの森Ⅰ世(JR九州)」というモデル(TOMIX社、Nゲージ)を掲載しました。この「ゆふいんの森」は嵯峨野鉄道図書館という急坂急カーブ線路を自由に自動往復するだけの柔軟性をそなえ、デザインも色調も未来的で想像をかき立てる列車素材となりました。
 最近は実車としてJR九州のさまざまな未来的列車(ドーンデザイン研究所)を、未来の図書館列車や生涯学習列車として、再認識するようになりました。

 以上もって、この2009年夏の、「二階建てトロッコ図書館列車」構想の中間発表とします。

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