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2009年7月 5日 (日)

高台の図書館:鉄道図書館(8)第一期完成

承前:高台の図書館:鉄道図書館(7)レールレイアウト仮設と試運転

 先回(7)でレールを敷いて試験走行をためして、うまく行きましたから、その後でレールを発泡スチロール用のクリアボンドで固定しました。道床に添わせて両側にボンドをたらし込んでいくわけです。
 今回はレールの最終調整をした後、残る隙間に紙粘土を埋め込み形を整え、砂をレールに敷いたり、色粉を地面にまいたりして、地面らしき物を整形してみました。工作の詳細は、各縮小写真をクリックしてください。

 今回を第一期工事の最終としましたので、初回(1)を探してみると、2008年7月30日が始まりでした。こんな小さなジオラマ(30X60cm)でも一年かかってしまったわけです。最初の方の石膏荒削り・砂漠の遺跡のような風情が懐かしいです。

 本来なら二、三週間で完成する規模ですが、不慣れなことと、他にも種々のジオラマを手がけてきたので、一年間もかかったのだと思います。

 出来映えはと聞かれると、最初の最初に造った別のジオラマ(60X90cm:嵯峨野鉄道図書館)の方が良いと感じていますが、この「高台の図書館」は小さい中に前方後円墳などを織り込みましたので、第二期工事とか、他のジオラマに発想は継承されていく予感もして、これでよいと決心し、公開するにいたりました。

DE10(樽見鉄道TDE10黄色)とソドー島郵便車(機関車トーマス世界)
  TOMIXのNゲージ車両
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↓ (1)残った調整:地面の整形

 大体の造形はすでに~「高台の図書館・鉄道図書館(7)」で終わっているわけです。それが2009年1月のことでしたから、最後の調整にはいるまで半年も怠けていたことになります。

 ここでは工作の詳細は省きますが、建物の隙間などに紙粘土を詰めて整形しました。レールの周りにはボンドと砂を混ぜたものをスプーンで撒きました。さらに以前の色に追加して、ボンド液に色粉を混ぜて地面にまきました。

 この方法はまことに粗っぽい手法で、以前私が開発したものです(笑)。しかし手間暇を惜しむと、それだけの結果しかもたらさず、悲惨とはもうしませんが、現実のレール風景とも地面風景ともまったく違った、独自な世界が残りました。独自さは良いのですが、ボンド水溶液は白濁していますので、作業中は結果が読めないのです。翌日乾いた姿をみて、愕然とします。総じて、まだら模様となっておりました。

 しかし当面、この方法を使い込む予定です。こうなると、意地と言うのでしょうね。ですが、心の自由度は充分に残ります。

No.08-01 レール貼付けと砂・粉ねりあわせ
No.08-02 紙粘土で建物を固定
No.08-03 高台の農家も紙粘土で整形
No.08-04 砂利(砂)のボンドあえ
No.08-05 レールに砂利撒き
No.08-06 レールに砂利撒きの終わった全景

高台の図書館:纒向号とED79-100
    TOMIXのNゲージ車両を改造(MuBlog記事
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↓ (2)このあたりで手を打った第一期工事

 白濁したボンド水溶液は乾くと透明になって下地や色が浮かんできます。全体の雰囲気は以前から頭にあったイメージとは大いに異なります。大抵は、頭の中ではもっとすっきりした、綺麗な印象なのです。しかるに現実はこれこのとおり。ここで主観と客観のずれを味わうわけです。ただし、全体構造は、前方後円墳の形状以外は、実はイメージのままだったのです。私は、このような景色のよい、前方後円墳と周濠を見渡せる高台の図書館を造りたかったのです。モデルはその意図とおりとなりました。もちろん、まだら模様ですが。

 節を曲げた設計変更は一点あります。
 当初、このジオラマは全方位から観察できる作品に仕上げる予定だったのです。どこから見てもそれなりの情景が浮かんでくる物を目指しておりました。しかし、実際には正面と左右面だけで意図を達成し、裏面は諦めました。たとえば農家は、裏面に正面があったのです。プラットホームの向きは、周濠の真上に位置する予定だったのです。

 立体物だからこそ、どこから見ても様になるものがあってよいと考えてきましたが、どうしても「裏」を使わないと、全体がおかしくなってしまったのです。逆に、この「裏」を使うことこそ、裏技の極意と達観した次第です。

No.08-07 乾いた後の大階段とレール
No.08-08 それなりの高台駅と農家
No.08-09 正面:高台の駅と農家
No.08-10 隠し支線の情景
No.08-11 裏の情景
No.08-12 駅裏の情景

高台の図書館に停車する愛宕号(二階建てトロッコ鉄道図書館列車の初号)
  あたご1号:KATO製、あたご2号:TOMIX製(MuBlog記事
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↓ (3)高台の図書館と、様々な図書館列車

 さて、以下はこれまでもお見せしてきた様々な情景を、再度あたらしい色遣いの中で御覧に入れます。以前の写真との違いは殆ど分からないと思いますが、着実に変化はあるのです。

 写真の図書館列車は20m級の二両連結(牽引車と合わせると3両編成)ですが、この半径14cmを常用したミニジオラマでも、それらは比較的高速に安定して上り下りします。さすがに、試験走行でも縷々述べましたが、牽引車は制限が強いです。急坂ですから充分な登坂力を持ってしかも急カーブを曲がれる牽引車となると、機関車は限られてきます。

 また、地面の色が砂漠風ですから、車両はできるだけ派手な原色が似合うとも思いました。巻頭にあげたTOMIXの樽見鉄道TDE10黄色と、きかんしゃトーマスの赤い郵便列車は、存在感があります。後者を図書館列車に改造すれば、ぴったりの車両編成となることでしょう。

No.08-13 三層のレール敷設
No.08-14 高台の農家の裏姿
No.08-15 横からの俯瞰写真:前方後円墳周濠
No.08-16 横からの俯瞰写真:大階段
No.08-17 高台の図書館と「会議研究列車」
No.08-18 高台の図書館と「愛宕号」
No.08-19 支線に隠れたDE10(樽見鉄道TDE10黄色)
No.08-20 「高台の図書館」を見上げる
No.08-21 大階段の新趣向


↓ (4)第二期工事に向けての課題

*ジオラマ(レイアウト)細部
 大階段だけでも、初期のイメージ、明日香・酒船石(北方)遺跡の大階段を再現したいです。それには、薄いグレーを塗ればなんとかなると思うのですが、これまで二度、三度と調整する度に初期の石膏仕立てがますます悪化して、苦い想い出があるのです。いつか、なんとかすることでしょう。

 レールの敷き砂利も丁寧にすれば見栄えがよくなります。TOMIXレールの道床部分にも砂を均一にまいて仕上げた事例を知っていますから、手を入れる余地はあります。

 自慢の前方後円墳は、これは「邪馬台国周遊図書館列車ジオラマ」で本格的な箸墓を造営しますから、それまでの小手調べということです。現状では、これを前方後円墳と看破するひとは、十人に二人ほどでしょう(笑)。

 周濠の水模様は、始めて熱溶解性の樹脂を使って泡だった苦い経験から、次回に試みるときはもう少し上手にするつもりです。このジオラマでは現状維持とします。

 高台の図書館そのものについては、記号としての図書館で、この建物(TOMIXのペンション)で行くつもりです。しかし電灯をセットしたり、柵を作る余地は残っています。柵がないと人が周濠にずりおちそうな雰囲気です。

 樹木がまるでありません。友人達の感想では木々があった方がよいとのことでしたので、考えてみます。そういえば、酒船石の周りにも木々が茂っておりました。

*似合った図書館列車
 以前の第7回ではさかんに「モンスター電気機関車EH500」を走らせていましたが、落ち着いて考えてみると、このジオラマにはもう少しお似合いの図書館列車を作る必要があります。

 写真でも少し紹介しましたが、牽引車はDE10(樽見鉄道TDE10)タイプの大きさがよいと思っています。実車諸元を見ていると全長が14mで重量65トン、馬力は1250~1350馬力あるようです。これで、現実の京都市「嵯峨野トロッコ観光列車」は、5両を編成していましたから、充分な力もあります。この実車をリチウムイオン電池車に改造したものを想定しています。

 図書館列車は機関車トーマスの郵便車が、大きさといい、雰囲気といい、ぴったりだと思いました。これを二両連結して書庫と閲覧室を設けるか、あるいは車掌車を付けて司書室にすれば、雰囲気的に溶け込むと考えています。

*生涯学習館としての「高台の図書館」
 これは特に地域の人達、老若男女が収入や立場や年令にかかわらず、図書(館)の世界や景観をいつでも楽しめるように考えてみたものです。
 景色の良い高台に図書館を置くのは良いことですが、アクセスに困ります。自動車がなくても、バスがなくても、安定したレールがあれば、いつでも図書館に通えます。しかも、列車の中でも読書ができます。そういう未来の生涯学習館・高台の図書館を目指しているのです。

高台(7)←続く→高台(目次)

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