NHK天地人(27)兄・兼続と弟・実頼
与六(兼続)と与七(実頼)
もともと兄は樋口与六で、弟は樋口与七でした。お父さんは「樋口惣右衛門」。兄と弟の年齢差はみたところ二、三歳でしょうか。
ところが青年期になって、二人とも入り婿して、兄は直江兼続(妻夫木聡)として若き家老になります。弟は小国実頼と名乗り、今夜は小国あらため大国実頼(小泉孝太郎)となりました。
兄弟で上杉景勝(北村一輝)に仕えてこれまで過ごしてきましたが、兄・兼続の圧倒的な名声、実力、上杉家への貢献にくらべると、その影にいた弟・実頼は表だった武勲・貢献が目立たないわけです。
想像するに、実頼ひとりなら、幼少期から兄の姿を見ていますから、「兄がえらいのはあたりまえ」「兄に頼んで上杉景勝の直臣になれた」「兄のおかげで、いろいろな仕事をさせてもらえる」と、感謝の念が深いと思います。次男坊の気楽さも、味わっていたはずです。
しかし別の家の名代を嗣ぎ奥さんを持つと、その両親とか、奥さんとか、家臣への、なにかと難しい心の動きがでてくるわけです。これも仕方ないです。兄に対しては次男坊烏の気楽さがあっても、婿入りした家に対しては、当主の立場ですから、気楽に過ごすことが出来なくなります。
さて。そこで今夜は、兄弟喧嘩。実頼は兄の考えや深謀、物事のとらえ方、生き方をはっきりと鮮明に、鋭く見ることになるわけです。
見どころ
秀吉が景勝名代の小国実頼を聚楽第でたらしこむのが上手でした。秀吉の人たらしの上手さは、あまり嘘をつかない、相手の気持ちをよく理解し、そこをずかずかと踏み込み褒めちぎるところにあると思いました。
なんだかんだと言っても官位を授かるのは大名にとってはものすごい栄誉です。その秀吉の官位は、このときは太閤さんになる少し前ですから、従一位関白太政大臣だったのでしょう。だから天皇に代わってというか、名代として出したのでしょうね。殿下と尊称を受けていましたから、相当な高位です。
従五位下とはいえ、官位を上杉家の家臣でありながら授かったのですから、実頼が変になるのは当たり前です。一種の官打に近いですね。この場合は、実頼をほめあげて打つのではなくて、上杉家の分裂を計っていると感じました。
その時の口説き文句が、二番手としての心の鬱ボツを、自身が信長麾下にあったとき、どうしても明智光秀を超えられなかったという思いにたくして、兄・兼続の偉大さに隠れる実頼の苦渋を察した口ぶりでたらしこむわけです。それは、嘘ではないわけです。そして官位も嘘ではないわけです。だから秀吉は、人の心を自由に操作した優れた政治家だったといえるわけです。
もちろん、それに対して、兼続は怒ります。
救われるのは、再び景勝、兼続、実頼が上京した際、実頼が兄からの自立を兼続に頼み込むところですね。
今夜のおもしろさ
45分間。分かりやすく、それぞれの心のひだの陰影を味わえました。
淀君は、なにかしら華やかでした。
小国実頼の奥さんのキツサには、みていてわらけてきました。あんな風に責められると、私なら夜逃げしますねぇ~あはは。
源氏の名家・小国とか、その後の大国家のことはまだ私も調査不足です。
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