小説木幡記:2009/07/16(木)季節は巡る万華鏡
闘病記、とは大げさな
今年は体調低調が長引く。いまだに杖をついて足元がおぼつかぬ。記憶では2003年が5月~9月末まで、よろよろしておった。
医師の話では、もうすぐ良くなるらしい(笑)。
雰囲気としては、授業が終わって夏期に入れば、綺麗さっぱり消えて、ふつぅ~の人にもどるやろう。
今回の要因は、気温の高低差が激しいことと、難儀な委員会仕事のストレスに尽きるとふんでおる。詳細はメモするのもうとましいが、二重苦、つまり自分自身に強く関係することと、他人様達に関係することが輻輳し、体調不振とからまって、どうにも腹立たしい程脳が動かず、それがますます悪循環。
もともと余は一を聞いて十を知るタイプ(つまり秀才)ではなくて、十を聞いてやっと一を知るタイプとしていままで生きてきた。要するに分かりが悪い。外界の変化への順応性が極めて低い、……。
ただし。
十を聞いて一を知ることに、ものすごく幸福感を味わってきた。つまり、いつも暗中模索(十)の中にいて時々光(一)を切実に感じるからである。それで、いつも機嫌が良かった。今日の一と昨年の一と、一昨年の一を足せば、確実な三があって、それが余の自律と自立を助けてきた。
それかあらぬか、余は天才を見るととても気に入るが、秀才は馬鹿馬鹿しくて話をするのも嫌になる。鈍才同士でぐつぐつ、しんねりとこの世のあれこれを話していると、気が楽になり力がみなぎってくる。
世の中を動かしている殆どの人は秀才だから、そういう世の中になじめないのは、こういう事情からだな。
……。
ふむふむ、こうして書いておると楽になってきた。余は分かりが悪い人間で、ただそれが大勢の人達と一緒に仕事すると、遅れがちになるものだから、ストレスが溜まる。仕事を辞めてしまえば、きれいさっぱり消える類のもので、根源的、哲学的、生死観に関わるような問題じゃない。
そして。
仕事を辞めたり変えたりしたら、おそらく、また新たなストレスが生まれて来るじゃ老。なかなかに、永劫回帰のストレス世界、これが仏教でいうところの「苦」の一つかな、と思った途端に一人笑い爆笑していた。
延暦十三年のフランケンシュタイン/山田正紀. 1988(徳間書房)
20年以上も昔の図書を最近、あっけなく再読した。これで四度目くらいかのう。今回も堪能した。しかし、なぜこの図書がいつも余の宝物箱にはいっているのかは、今度も理由が分からなかった。
世間的にはノーベル文学賞とか芥川賞とか、◎◎大賞を受賞するような雰囲気のものではない。しかし、余の宝物であることに違いはない。
日本にも平安時代にフランケンシュタインがおったのか? という疑問に答える図書小説ではない。延暦13年とは桓武さんが平安京に遷都した794年のことだから、無理じゃ老。
主人公は空海というえらいぼんさん。高野山を開いて、いまでも奥の院で修行しておられる(?)方の、もう一つの伝記、隠された異聞と言えばよかろう。
真言密教は呪術世界が濃厚やから、雰囲気はよくでておるなぁ。
そういえば、「孔雀王」とかいうマンガに昔熱中した。映画も見に行った覚えがある。裏高野とかいう忍者・呪術集団が暴れ回る壮絶な面白さじゃった。必ず、高野山・奥の院が出てきたなぁ。
ふむふむ。
司馬遼太郎さんの『空海の風景』が木幡研の足元にいつもある。随分えらい人やったそうだ。20代終わりに一読して、その後読んではいない。まだ身近にあるということは、余は再読したいのじゃろう。さて、いつになるのか。
葛野図書倶楽部2001とか授業とか
昨日夜半11時過ぎに、倶楽部blogで、後期演習班分けの締切があった。一科目8班体制にし、前期の個人レポートからおもしろげなものを8篇選び(上級生と余)、その者らに一名だけ事前に相棒を選べるようにしたわけだ。
今日は午前中に2科目、それぞれの班を完成させるために、各班のテーマ概要を上級生(助勤と言うておる)達が説明し、昨日午後に余が作成したおみくじ(じゃなくて、抽選券)でもって、好きな班に行けるようにしておる。難しい解説や共同演習の説明を優秀な助勤達にまかせて、余はせっせとおみくじを作っておる。
助勤達は全部余の昔の受講生じゃから、これこそ教師冥利につきる。
これで前期のうちに後期の班体制が整うので、受講生たちにはいいようなわるいようなぁ~。生真面目なリーダーと班員ならば、夏期に何度も打ち合わせるし、ちょっとのんびりした班だと後期間際になって、慌てる。例年のことながら、見ていて面白い(と、おもしろがるから嫌われる脳)。昨年は夏中、屯所を使って打合せした班のひとつが優勝し、一昨年は9月になって慌てだした班が優勝した。両方あるが、それぞれの班長を熟知しておるので、これもまた面白い。
ということで、書き疲れてきた。また眠るとしよう。
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