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2009年6月 7日 (日)

NHK天地人(23)「義」と「愛」

承前:NHK天地人(22)真田幸村と父・昌幸、兄・信之

 今夜は回想が多く比較的あっさりした一夜でした。
 しかし退屈することもなく、最後まで熱心に見ました。

 何故かというと、上杉景勝も直江兼続も、まだ若くて時々重荷を背負うのが苦痛になり、道が見えなくなってしまう。それをどうやって元に戻すのか、一つの事例を見せてくれたからです。

 常に謙信公が回想で現れてきます。この場合「義」と「愛」とで説明されます。義とは豊かで温かな国を創るため、民を愛でること、周りに対しても、誠意をつくし愛でることから総てが始まるという意味でしょうか。

 義と愛を貫くことは、このドラマが始まったときから不安を感じてきました。おそらく、一番「力」を必要とする生き方でしょう。裏切ったり、利益に走ったり、憎んだりすることなしに、戦国の世を生きていけるのか? という疑問があったからです。しかしそれを上手に表現し、見せてくれないとドラマが頓挫してしまいます。

 ますます無口な景勝さんも今夜はそれなりにセリフがでました。私はこのキャラを気に入っています。
 泣いてばかりいた兼続さんも、動きがツボを得てきました。唐突ではなくて、必要な時に現れて適切なセリフを吐くようになったと感じています。

 お船さんの存在が大きいですね。大柄な幸村や景勝に比べると少し小柄な兼続が、「姉さん女房」に支えられて、迷わずブレのない行動をするようになったと思うのです。これまでは多少素っ頓狂な自分の意志で死地に出向いたり、武田に黄金を渡したりと、危うい綱渡りを味わいましたが、最近の兼続家老はお船さんの名参謀のもとで、はらはらさせない雰囲気で、しっかりした動きを見せ出しました。

 上杉景勝は、兼続らと育った上田荘の寺で、幼い頃に謙信公を真似て書いた「第一義」という自分の書を和尚から見せてもらい、上洛を迷う気持が定まりました。「第一義」の意味は良く分からないのですが、第一に「義」とするのか、本質的なもっとも大切なこと(現代用法で、第一義)とするのか、いずれにしても、「本質を誤るな」という意味だと思いました。ふらついたり、裏切ったり、利に走ったりするのは、自分の弱さからでた「幻」への恐怖感がもたらすものでしょう。弱い人間は、自分の言動に最後まで迷いふらつきます。相手に裏切られることを怖れて裏切ります。弱い心では先が見えないから、眼前の小利に手を出してしまいます。

 結局、今夜の景勝や兼続の迷いはどんな人でも味わう人生の節目だと思います。それを幾つかの手続きを経て、迷いを断ち切ったところに、ドラマの味わいがありました。プライドには「やせ我慢」が必要になります。だからやせ我慢してでも棄てられないプライドの意味を理解したとき、ちゃんと生きたことになるのでしょう。

 景勝や兼続が自分達の保身や、あるいは越後一国の安泰だけを願って太閤秀吉に臣従するなら、それは「自分自身を安く売った」ことになります。それだと表面的なプライドは見透かされてしまい、秀吉という稀代の人間通に軽く見られます。上洛するのは臣従を意味しますが、それは「義」を曲げない力強さを伴わなければ、信用もされないでしょう。~、難しい問題なのでこれくらいにしますが、今夜のドラマはそういう難しさを切り返す景勝や兼続の姿を、分かりやすく表現したと思った次第です。

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承前:NHK天地人(23)「義」と「愛」  今夜は上杉景勝さんの大ピンチとなりました。背後に石田三成→直江兼続→お涼(千利休の娘)という一大支援部隊があったのですが、親衛隊4000を差配するのは日常茶飯事でも、太閤秀吉以下一門、諸大名と毎日毎日会って挨拶回りするのは至難の技というか、重度の勤行だったのでしょう。ついに左こめかみを押さえ、心身を壊してしまいました。  このドラマの新境地に思えました。... [続きを読む]

受信: 2009年6月14日 (日) 21時41分

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