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2009年5月12日 (火)

小説木幡記:2009/05/12(火)物語で括ることも、痛みよけ

 深夜、零時すぎに突然目覚めてしまった。激痛からだった。月曜は這々の体で葛野に行き、早朝授業を二つこなし、同僚に鉄道図書館の一般論を相談し、局長には「明治村図書館列車」の相談をし、別の係にはカリキュラムの相談をし、別の同僚には詳細を相談し、学内メールで要請のあった仕事をいくつかこなし、そして途方にくれていた。「痛い」と。
 そうだ、昼食時にも助勤たちと授業の打合せをしていた。この時も内心痛みで顔がゆがんでおった(笑)。

 夕食時に痛み止めを飲んで、しばらくしてそのまま就寝した。十時すぎだったろうか。眠りにつく前に随分「気弱」になっている己に気がついた。気弱の内容は単純で、「何をやっても痛いのだから、もう、全部放り投げたい」と。いやそれほどデスパレート(英語:絶望的な)な気分でもなくて、ひょいと「棄てたら気楽になるだろうな。日々仕事、研究や教育や話が多いなぁ」と軽いノリに過ぎない。

 膝を120度以上に曲げると激痛がくるようだ。寝ている最中に寝相が悪くて直角にでも曲げてしまったのだろう。だから、深夜に目覚めた。杖を使って数分かけて床から起き上がり、暗い部屋に出た。常夜灯の影に春ちゃんがソファの上で眠っていた。仰向けになったままぱちりと余をみて、ニタリと笑った気がした。冷蔵庫から冷えたソーダー水をだして、コップにいれて春ちゃんを見ながらゴクリゴクリと呑んだ。喉越しがよいなぁ。その時出した保冷剤を二つ膝にあててネットでくるんだ。ひゃぁ~んとして、痛みが速攻で薄らいでいった。5分ほどして嘘珈琲を作って飲み出した。わざわざ漫画博士を呼んで真珈琲を淹れるまでもない。

 痛みは知らぬ間に薄らいでいた。
 物語を考えていた。研究も教育もその他の仕事も付き合いも、一切合切物語と思えば随分気持が楽になる。そう、痛みすらも物語なのだ。昨日昼に発注しておいたポプラ社の『百年小説』が届いていた。森鴎外から太宰治まで、50人以上の作家の短編を編んだものだった。とりあえず富嶽百景と山月記を読んでみた。前者は太宰の活きの良さを味わい、後者は痺れた。余は漢文調の小説を目にすると、全身が粟立つ質でな。

 新漢字、新仮名遣いという点に、いろいろ思う人もおるだろうが(余もそうだ)、しかし木幡研で話した結果、現代人には旧字旧かな遣いは外国語並だから「しかたない」「是非に及ばず」という結論を出した。でっかい活字で目に優しくて、そのうえ総ルビというのもよい工夫だった。今はしらないが、岩波書店の良さをたった一つあげるなら、漱石全集なんかでも極大文字を使っておる。あれはよいなぁ。今回のポプラ社のやりようは、それなりに読みやすくてよい気分になった。

 そこで。
 生きていることは物語を編んでいること。
 そこで。
 疾風怒濤、ジェットコースター的急転直下、謎が謎を呼ぶ猟奇殺人、……。だけが物語ではない。近代小説を物語と定義するなら、穏やかな小春日和のぽわんとした物語もあってよい。伊勢物語風の歌物語で人生を歩むのもよかろうな。しかし、中島敦の格調は、たまらぬのう。彼のは木幡研に別本もあるはずだから、名人伝や李陵なんかも読みたくなった。

 とここにいたって気がついた。余は温度差に弱かっただけなのだ。近頃は一睡の間に十度前後高低する。これが体内のホメオスタシス(恒常性維持機能)を破綻させ、あっさり横臥に誘い込むようだ。してみると昨日は7月並の高温、この週末は3月はじめの低温と聞いておるから、こりゃ週末はたっぷり読書しなくっちゃ。保冷剤もたっぷり冷やしておこう。良き日々なり。

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コメント

Muの旦那はん 大丈夫ですか~

 私思うに、頑張りすぎと違いますか。全てに全力投球し過ぎと違いますか。気持が青年なのは判りますが、なんせ、ほれ、身体は還暦過ぎてますからね。

 私は時折、朝方に足がツル程度の痛さは経験ありますが、貴殿の痛さは激痛の部類ですよね。これからは、ベッドがいいと思いますよ。年寄りにはベッドがいいようです。

 くれぐれも、お身体第一にお願いしますよ。まだまだ、これから古代史探訪の旅がありますからね。

投稿: jo | 2009年5月12日 (火) 07時19分

Joさん、今晩わ

 今度は高槻の今城塚古墳と、ぐっと北上して水無瀬神宮に決めております。ついでにご近所の大食漢じゃなかった、鎌足さんの遺跡もお参りしてはどうでしょうか。

 水無瀬が歌歌しくておいやなら、橋をわたって樟葉宮もよろしいな。

 次回は継体天皇さんを忍ぶ、(先回の)近江から今回は山背紀行ですな。

追伸
 お体のことですが、文章にすると文飾がすぎて巧言令色少なし仁ほどではないですが、舞文はげしくて、読み返したMuでさえ「こりゃ、大変だ」と驚くほどです。
 たいしたことではなくて、怠け者風にごろごろ横になっているだけです。あはは。

投稿: Mu→Jo | 2009年5月12日 (火) 20時22分

お体の調子いかがですか・・お忙しい日々。どうぞどうぞご無理されませんように!はるちゃんを見ながらソーダ水。はるちゃんが見たいです~すこし大きくなったのでしょうか^^
今月末から俳句教室にいきます。地元新聞の俳句の選者をされてる先生です。はたして続くのでしょうか・・と思っております。。

投稿: yuyu | 2009年5月13日 (水) 13時17分

YuYuさん、おたよりありがとう。
 おそらく関東の方と思いますが、こちら京都は連日初夏です。
さて、「ハルキ」君の写真ですが、近々掲載を予定していました。今の時期は成長が早いので、短めに記録するつもりです。だんだんライオンになってきました(笑)
 俳句ですか。これはまた多様な趣味をお持ちですね。Muはとんと駄目で、作っても、「このレールどこまで続く日本中」と、これが俳句とは言えませんから、句作経験はゼロです。そんな身で芭蕉さんがよいのわるいのと言うのですから、あははははは。
 ではまた。

投稿: Mu→YuYu | 2009年5月13日 (水) 18時12分

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