小説葛野記:2009/04/16(木)四月の墓碑銘、そして残酷な月
タイトルを書いていて苦笑した。つまりお約束の四月だから、お約束の二題を書かないとどうにも落ち着かない。
四月は酷薄な月だ~、とT.S.エリオットが長い詩を昔書いて、余は四月になるとこの詩の冒頭部分で頭がいっぱいになる。APRIL is the cruellest month,~、「枯れた土地にライラックを育て、想い出と情熱とをこき混ぜて、しぼんだ草木を春雨で甦らせて~」というような意味の詩が続く。荒れ地(The Waste Land)。
そして次に『四月の墓碑銘』とつづく。あはれ後ろ髪ひかれるおもい消えていく、わたしのまなこ総を見、なおもそれでいて映らなかった青春を~。と。
こうしてしばらく授業だけはよろけながら続行し、あとは横臥したままのここ数日だったが、無事に御題を二つ冒頭に掲げるところまできて、ほっとした。余は青年期以来、知恵熱に似て、緊張束縛がとけたあと「さあ、これから」と思った矢先に横臥し、杖をつく癖が身についてしまった。そのことで人生の値打ちも深く味わうわけだが。
よかった、よかった。
それにしても、四月の墓碑銘、これは一体なんなのだろう。と、不思議がるほどのことでもない。昔のMuBlogにちゃんと記録があった。それでよしとしましょう。
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