小説木幡記:2009/01/26(月)新ジャムと未来の図書館
木幡研ではときどき自家製ジャムが朝の食卓に置いてある。今朝は、ショウガと林檎とをすりおろしたジャムだった。ショウガがツンときて、パンの味が引き立った。また林檎は普通、大きな切片がとろりとしているが、すり下ろした林檎もおつな味だ。気に入った。珈琲と煎茶とソーダーを飲んで、雪中の朝まだき、いさんで葛野へ向かった。
~この間いろいろ~
さて夕食は巨大な鉄鍋でうどんだった。鍋焼きうどんと言ってもよかろう。鶏肉や卵や蒲鉾や野菜がいっぱいあって、ふーふーふきながらいただいた。ダシがよかった。何杯もおかわりしたが、麺類はすぐに消化される。明朝のショウガ林檎ジャムが楽しみだ。デザートはグレープフルーツに蜂蜜かけて、冷たくて歯が浮いた(笑)。
葛野
本当に、毎日毎日飽きずに繰り返して仕事がある(当たり前だな)。朝から採点に励んでいたが、面会もある。倶楽部の用事もある。眠気がくることもある。
眠気は対処法が二つあって、一つは瞬間睡眠5分。これはドライブ中に格別に有効だが、研究室でも変わらない。横になる。うとっとする。目を開けて時計を見ると5分間経過。脳からはきれさっぱり眠気が去る。もう一つは強制法で、自慢のハッカ油(親指大の小瓶で、千数百円もする豪華品)をデコとこめかみに塗りつける。量を間違えると大変なことになる。つまり目の周りに塗らなくても、涙がぽろぽろ出る。普通は二滴程度をデコにこすりつける。これで一応、頭が冴えてくる。
以上の方法はよく効く、嘘ではないぞ。
メルにまみれて
一日にいわゆる校務メールは山のように来る。以前は馬鹿メルも100通程度飽きずに毎日来ていたが、先年から葛野のサーバーには馬鹿メル撃退システムが導入されたのか、せいぜい日に数通におさまった。「メル、スパムと思って誤って消しました」だなんて言い訳は誰も言えないだろうね。そうだ、余の一斉メルについて若い隊員から「せんせ、返事遅れてすみません。迷惑メールにはいっていたんです!」と聞いたときは愕然としたなぁ。あれは一体なんだったんだろう。
そうだ、校務メール。
なかなかに一通一通が味わい深くて楽しんでおる。大抵は難問だな。書類のチェックもある。会議招集もある。広報もある。訂正メルもある。ときどき人事部から、人事裁定の怖いメルも来る。システムダウンとか停電とか、いちいちおろそかに扱えない。メール地獄なのか、極楽なのか。誰にも分からない。後者の「極楽」とは? 紙が少なくなって整理が楽になった。それに、学生からのあれこれもメールが多い。「休みます!」(勝手にせい)、「あれは、こうなんでしょうか?」(分かっているならメルするな!)、「某月某日は学生カード忘れて、欠席になっていますが~授業出ていました」(そういうのを、古証文、と言うんだよ)、……<後日談:すみません、他の先生の授業でした>。
大事なメルも稀に来る。賓客からの問い合わせもある。大体はディジタル・カレンダーを見ながら返事する。ときどきカレンダーに記入するのを忘れていて、約束がわからなくなったり、ポカもする。
そしてこんなことも、あんなことも、将来はパタリと無音になる日がくるのだろう。寂しいような、楽しみのような、メール狂想曲だわい。
邪馬台国周遊図書館ジオラマ
昼前後と、無人になった夕方の屯所で、ひとしきりテスト走行を重ねていた。畳2/3の大きさなので、30X60のミニジオラマ「高台の図書館」と比べると巨大である。今日分かったことは、半径18センチ弱のカーブだと、新幹線以外はすべて走行すると思っていたが、意外にもTOMIXの二階建てMax新幹線は通過したのに、KATOの二階建てビスタカーが脱線を繰り返した。化粧箱を見てみると、半径23センチ以上でないと駄目なようだ。ビスタカーを三輪山に連なる山頂中央図書館まで横付けしたかったので、これは思案することにした。今、木幡でレールセットをみると、半径32センチのが数本残っていた。直すならいまのうちだ。石膏固めをした後で、カーブレールを入れ替えるのは大仕事になる。
屯所の大机の3/4を占拠しているので、邪馬台国ジオラマは3月までしか整備できない。4月からは受講生であふれる。途中に2週間も冷暖房入れ替えでフロア全体が立ち入り禁止になる。今春中に石膏固めまで行かないと、次に触れるのは夏期まで待たねばならない。その間にコンセプトを固めるという考えもあろうが、モデルをさわり続けないと、机上で考えた理想の図書館が徐々にぼやけていく。そう言うわけで焦り。しかし、実は二月も会議山盛り~。困った脳。
情報図書館学的メモ
これまでのブックモービル(自動車などを使った移動図書館)は、駐留地を定め点から点に移動して、その地域の人達にサービスするのが主流だった。点点の世界である。
我が二階建てトロッコ鉄道図書館列車は、停車するのは木漏れ日の中、清流のせせらぎを聞きながら、半睡状態の読書を想定している。主目的は別にあって、点と点を結ぶラインの上で移動しながら読書、研究、会議をすることに重きをおく。
そして次の「面」とは、各駅と中央にベースとなる図書館を置くことで、環境全体の図書館化を目指している。これは以前に語った「キャンパスの中に図書館があるのではなく、大学図書館の中にキャンパスがある」という考え方に従ったことだ。地域の中に公共図書館があるのではなく、図書館という未来の生涯学習館の中に、地域があるという思想である。
……。
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