« 小説葛野記:2008/11/06(木)想像と模型と現実 | トップページ | 小説木幡記:2008/11/07(金)自動車免許証と運転者識別 »

2008年11月 6日 (木)

小説:なびるた/浅茅原竹毘古

 濃いめの珈琲を三口飲んで、手を止めた。そばの砂糖を0.5グラムいれて、カップをゆらした。もう一口飲んだ。
 黒い小さなフライパンにオリーブ・オイルの封をきって、小指の先だけたらし、チーズナイフでボローニアソーセージをスライスしながら、数えた。薄いソーセージが六片落ちたとき、ガスを点火した。煙があがった。換気扇をいれて、しばらくゆらした。卵を割って水を3cc注いだら、蒸発したので蓋をした。火を消した。

 椅子に座り直して、珈琲を飲んだ。
 電話が鳴った。
 ケータイのスイッチを切った。

 蓋をあけると卵の黄身が流れた。塩を親指と人差し指で挟んではらりとかけて、皿に移した。
 直通電話が鳴った。
 受話器をはずして手を離した。しばらくゆれて止まった。

 フォークと箸をだして、フォークで卵の白身をたべた。箸でソーセージの薄片を二切れだけまとめて食べた。黄身は舌で舐めた。
 ぼくは不意に喉が渇いた。
 ソーダーをマグカップに流し込んで、泡立てた。二口多めに喉に流し込んだ。喉が鳴った。聞こえないふりをした。

 窓際によって、本を広げた。126ページだった。後ろの行から読み始め先頭にきたので、ページを三枚繰って、見開き真ん中から左右に交代で読み始めた。左のページの最後に来たとき、右のページには戻らなかった。

 眠くなったので、もう一度、椅子に座り直した。
 空腹も渇きもなくなったので、目を閉じた。ぼくはすぐに夢をみた。

|

« 小説葛野記:2008/11/06(木)想像と模型と現実 | トップページ | 小説木幡記:2008/11/07(金)自動車免許証と運転者識別 »

小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 小説:なびるた/浅茅原竹毘古:

« 小説葛野記:2008/11/06(木)想像と模型と現実 | トップページ | 小説木幡記:2008/11/07(金)自動車免許証と運転者識別 »