小説葛野記:2008/11/29(土)列車記号化と分類手法
本日は、葛野に掃除しに来たつもりだが、いつのまにか図書を読んでいた。『はじめてのNゲージ/池田邦彦.イカロス出版、2004.9』。表題だけだと「相も変わらずですねぇ、Mu先生」となりそうだが、実は真剣に読み込んでしまった。まだ半分だが、いくつか言える。
文章が落ち着いている。マニアックな方の文章は、どうしても業界用語に依存してしまい、技術用語が乱舞し、難解というよりも、支離滅裂なものが多くなる。
この池田氏の文章は、よいと思った。
Nゲージ鉄道模型の普遍性が描かれていた。つまり視野狭窄状態を克服し、「人」の生におけるなにがしかの思想を表していた。勿論人生論ではまったくない。模型という確立した世界を、描いていたということだ。
そして余はまた、そこから別のヒントを得た。列車の記号化だった。
たとえば、p65に電車について形式・番号の解読があった。
クモハ165-34
クモが運転機器の仕様で、制御電動車。
ハが用途で、普通車。
165が型式番号で、100-399が直流電車。
34が製造順の車両番号。
(Mu注:制御というのは、運転台があると考えておく)
たとえば、「クモ」の要素位置にはいくつかあって、電車の運転機器の仕様{モ:中間電動車、クモ:制御電動車、ク:制御車、サ:付随車}となっている。さらに「ハ」の要素位置には、用途として{ハ:普通車、ロ:グリーン車、ネ:寝台車、シ:食堂車、ユ:郵便車、ニ:荷物車、ヤ:事業用車}がある。この方式が、別の要素の組み合わせとなるが、気動車(ディーゼル動力車)や、客車にも使われている。
なぜ興味をもったかというと、この記号付けが、情報図書館学では「分析合成型」と言われる手法で、対象を要素項目に分割し、各要素に要素値をあらかじめ設定し、対象をその要素値の組み合わせで表現する手法である。昔の国鉄時代(鉄道省時代か)から、こういう分析合成型という精密な方法論で列車を分類していたことに、驚きを味わった。
おそらく、この図書に好感をえて、それ故に普段なら読み飛ばすような部分も、精読したから分かったのだと思う。知ってはいた。しかし知っていることが血肉となって、心に「おお、そうだったのか」と納得させるのは難しい。
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